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デジタル映像制作技術を利用して、より効率的にアニメーションを制作することのできる技術と手法を研究。そこでキーファクターとなっているのがモーションキャプチャーシステムです。

東京工科大学 片柳研究所 クリエイティブ・ラボ

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東京工科大学 片柳研究所クリエイティブ・ラボ
所在地: 〒192-0982 東京都八王子市片倉町1401-1
tel: 0426-37-7813
fax: 0426-37-7814
E-mail: c-labweb@so.teu.ac.jp
Web: http://www.teu.ac.jp/clab/

文部科学省では、私立大学の大学院・研究所の中から多様な人材を受け入れ、研究と、若手研究者や高度専門職業人などの人材養成とを併せて行ったり、研究成果等の幅広い公開を行うなど、オープンな体制の下でプロジェクトを推進する研究組織を「オープン・リサーチ・センター」に選定し、総合的かつ重点的に支援している。東京工科大学の片柳研究所クリエイティブ・ラボではこの制度を活用し、「デジタル映像の制作技術研究開発プロジェクト」を提案することにより、文部科学省より2003年度から5年間、オープン・リサーチ・センターとして選定された。

■クリエイティブ・ラボのミッション
クリエイティブ・ラボ クリエイティブ・ラボでのオープン・リサーチ・センターには10のサブプロジェクトがある。その中の1つが「従来型アニメーションの構造化とデジタル化によるアニメーション制作の効率化」だ。アニメコンテンツの制作工程では、デジタル化が進みつつもなかなか省力化が進んでいない。そこでこのサブプロジェクトでは、アニメコンテンツ制作工程の1つであるアニメーション制作の効率化を、モーションキャプチャーを活用することによって成し遂げようとしている。モーションキャプチャーを使用することにより、絵を描かずに俳優の演技からアニメーションを作り出し、従来型工程における作画の負担を解消、高品質なアニメーションを効率的に作りだすことを可能にするシステムを構築することを最終目標として掲げている。

日本の世界に誇れる産業の1つに、アニメコンテンツ産業がある。日本のアニメコンテンツは、世界的に高い評価を受けており、今や日本の映像コンテンツの中核を担っていると言っても過言ではないだろう。そして近年、より高度な映像表現のため、また制作の効率化のために制作工程のデジタル化が急速に進んでいる。しかしながら、アニメコンテンツ制作工程の中でとても重要な要素であるキャラクターアニメーションの作成には、未だにベテランアニメーターの技術と多くの制作時間が必要である。このため、テレビシリーズなどの需要が拡大しているのにも関わらず、アニメコンテンツを制作することのできるプロダクションは少なく、各プロダクションの制作者の負担が増大している。

■モーションキャプチャーシステムの検証
作業風景 クリエイティブ・ラボでは、コンピューターの性能やソフトウェアの機能向上に伴い一般化してきたCG(コンピューターグラフィックス)、中でも既に映画、ゲームなどの分野では広く利用されているモーションキャプチャーを用いてより効率的にアニメーションを制作することのできる技術と手法の研究を行っている。従来、複雑な動作のアニメーション制作では、アニメーターの腕に頼って作られてきた。しかし、モーションキャプチャーを用いると、人間や動物の自然な動作を忠実に収録、再現することが可能であり、写実的なキャラクターアニメーションを短時間でリアルに作成することが可能となる。

近年、モーションキャプチャーの技術も多様化している。クリエイティブ・ラボでは従来からある光学式モーションキャプチャーシステムだけではなく、新技術の調査、検証を行っている。その内の1つ、2003年12月に導入されたendorphinの検証結果について「直感的かつ簡易なインターフェイスを用いて、爆風で吹き飛ぶ役者や、岩につまずいて転ぶ馬などのリアリスティックな動作が生成できます。とくに、モーションキャプチャーシステムでは危険なスタントアクションなどに有効だと思います。」とクリエイティブ・ラボでチーフインストラクターである川島氏は話す。endorphinは、物理学に基づいてアニメーションを自動生成する画期的なアニメーション編集を行うものである。
PVS を利用した従来型アニメーションの分析 さらに東京工科大学では、2004年3月に導入したPV STUDIOについても、現在検証を行っている。PV STUDIOは、2台のカメラのビデオ映像から3次元の動作データを生成する、画期的なモーションキャプチャーシステムである。光学式モーションキャプチャーシステムのように、日照条件や撮影環境に左右されにくく、屋外での動作収録も可能である。検証中のPV STUDIOについて、「PV STUDIOのコンセプトはとてもいいと思います。」と、川島氏は話す。「専用のスタジオを必要とするVICONと比べビデオベースですので気軽にどこでもモーションキャプチャーができる点がいいですね。VICONではキャプチャーできない水泳や動物などのモーションキャプチャーを計画しています。また、他のシステムと違ってマーカーなどを着ける必要がないので、着物を着た状態での伝統芸能のモーションキャプチャーもやりたいと思っています。着物を着た状態と着てない状態で演技してもらうと、どうしても違ってきてしまいますからね。あとは、トラッキングの精度がもっと改善されるといいですね。」

またPV STUDIOの使い勝手について、実際に使用している東京工科大学 大学院に在籍する柳野氏にはこんな話を聞けた。「PV STUDIOでは、マーカーを合わせていくだけ、つまり単純作業の繰り返しによって3Dのデータが完成するのが良いと思います。マーカーのトラッキング性能がもう少し良くなると助かりますね。ダイキンの担当者に聞いてみたところ、最新バージョンではマーカーのトラッキング精度が向上しているようなので、期待したいですね。」また、PV STUDIOはビデオベースということもあり、こんな話も聞けた。「市販のデジタルビデオで撮ってきた映像でも、PV STUDIOで3Dのデータを作ることができました。お手軽でいいですね。」

■アニメーションのためのモーションキャプチャー
モーションキャプチャーで収録したデータは、秒間240回以上の速さで、キャラクターの骨格の位置、回転データに変換される。この繊細なデータが俳優の演技をリアルに再現してくれるのだが、デフォルメされたキャラクターなどにはデータが細かすぎるため、どうしても違和感が目立ってしまう。この違和感の修正には膨大な時間がかかり、ノウハウも確率されていない。そこで、クリエイティブ・ラボでは、モーションキャプチャーの動作データをデジタルアニメ制作に効果的に活用するための手法を研究、開発している。この手法によって、CGソフトウェアでのわずらわしい機械的な作業を大幅に削減し、アーティストが、よりクリエイティブな作業に集中できるような制作工程の確立を目指している。

新しいアニメ制作手法として現在クリエイティブ・ラボで研究、開発しているのが、アニメーションデータベースとモーションキャプチャーエンジンを活用したものである。アニメーションデータベースでは、モーションキャプチャーで撮影された俳優の演技を格納し、再利用やデータの変更を自由にできるようにする。データベースに格納されたデータにアニメーション独特の誇張、省略表現を施すことで、アニメーションを制作していく。この新しいアニメーションの制作手法により、アニメーション制作時間を大幅に削減できることだろう。

俳優の演技データはモーションキャプチャーで取得し、アニメーションデータベースに蓄積される。クリエイティブ・ラボでは、モーションキャプチャーにVICONなど大規模なシステムと、制約のある状態ではキャプチャーできないモーションや、簡単なモーションのキャプチャーなどにPV STUDIOを使っている。こうして日々膨大な量のモーションキャプチャーデータを格納していくが、ユーザーにとって困った問題が登録日や数値データからの検索が困難なことである。そこで、モーションキャプチャーデータと感性レベルの検索用語を結びつけて格納し、例えば「走る」、「跳ぶ」、「笑う」などで容易に検索が可能となるシステムを構築する。また、データベースに蓄積されているデータは一切加工しないようにし、いつでも再利用可能とする。

データベースに蓄積されたモーションキャプチャーデータを呼び出し、アニメーション独特の誇張・省略表現を自在に加えて次々と新しいアニメーションを作ることを可能にするのがモーションキャプチャーエンジンだ。モーションキャプチャーエンジンには、2つの機能がある。アニメーションデータ簡略化機能とアニメーションルール適用フィルタ機能だ。アニメーション簡略化機能は細かすぎるモーションキャプチャーデータを、誇張アニメーションに必要な動作の特徴点のみをモーションデータから抽出し、最適化を行う。アニメーションルール適用フィルタ機能は、制作現場のノウハウとして培われたアニメーションのルールを、簡略化されたモーションキャプチャーデータに適用していく。これらの機能により、モーションキャプチャーエンジンはモーションキャプチャーデータに誇張、省略表現を自在に施すことが可能となる。




■今後の展望
現在、クリエイティブ・ラボではアニメーションのルールをいかにモーションキャプチャーデータに適用していくか、研究中である。この研究には、PV STUDIOが使われている。PV STUDIOでは、簡単に3次元データを加工することができるからだ。図1のように、実際のアニメ画面を見ながらPV STUDIOで作られた3次元データを加工していく。PV STUDIOのいいところは簡単に、自由自在に3次元データを加工できるところだろう。

デジタル化が進みつつもなかなか省力化が進まないアニメーション制作現場も、近い将来クリエイティブ・ラボにより提唱されているモーションキャプチャー技術を使った一連の手法、システムを使い作業効率の向上や大幅なコストダウンが可能となるだろう。実際にクリエイティブ・ラボではあるプロダクションの協力のもと新しい工程の実証テストを行った。それの結果によると、従来型のアニメーション制作工程と比べて新しい工程では約半分の省力化を実現した。まだまだ研究、開発段階だが、これから楽しみなプロジェクトである。
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