生命と情報を融合した新しい学科を設立。学生全員が講義を通して原理を習い、DS Modelingでの実習を通して現場を学べる教育環境を構築している。
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立命館大学 情報理工学部 生命情報学科
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生命科学(バイオテクノロジー)と情報科学(コンピュータサイエンス)の融合領域である生命情報科学(バイオインフォマティクス)では、ゲノム情報の解析や先端バイオサイエンスの研究などを通じ、今後の急速な発展が見込まれるライフサイエンス分野で活躍できる専門的な能力を育むとともに、社会における新たな生命観の構築をめざしている。
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所在地 |
:滋賀県草津市野路東1-1-1 |
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Webサイト |
:http://www.bio.is.ritsumei.ac.jp/ |
生命情報学科では、実験実習において、世界の製薬現場で活躍しているタンパク質設計ソフトウェア「Discovery Studio Modeling(以下、DS Modeling)」を全ての学生が同時利用できるという世界初の教育設備の環境を整え、卒業後直ちに社会で活躍できる人材育成を目指している。
■講義の中にDS Modelingを導入
「生命情報学科では、学生の実験実習の中にDS Modelingを導入したところがポイントです。新しく設立した学科なので、製薬メーカーなど企業の最先端で使われているものを実習の中に組み込むことで、特徴づけようとしました。企業の現場を教育に反映させることで、学生が就職したときにはその経験が生きてきます。」
「これまでも研究室単位での導入はありましたが、学生はその研究室に入らないと使えませんでした。今回学科コースの中に導入したことで、全員が実習を受けられます。学科には実験系とコンピュータを利用する研究室が半々あります。実験をやる人は、実際の現場に近いソフトウェアを使うことで、可能性と限界を認識して実験にあたれます。コンピュータ関係をやる人は、現状を把握しながら卒業研究や大学院の研究ができます。そうすることで、コンピュータ系の人と実験系の人の間でのコミュニケーションがスムーズにできるようになります。」
■生命と情報の両方を学ぶことで、実験系と計算系の研究者のスムーズなコミュニケーションができる
「企業の中には、情報に詳しい人と生命に詳しい人がいます。しかし、お互いのコミュニケーションが難しいのが実情です。コミュニケーションというのはお互いの接点やある程度の共通項がないと成り立ちません。これまでの情報系のコースでは生命系のトレーニングがほとんどありませんし、生命系のコースではコンピュータ系のトレーニングがほとんどありませんでした。このためお互いの共通項が形成されず、企業内で両者の協力が必要になったときには非常に困ります。情報系で実験をやったことがない人は、コンピュータは全てができるから、すぐに答えが出ると考えがちです。しかし、生き物は複雑でいつも同じ結果がでるとは限りません。その大変さがなかなかわからないのです。逆に、コンピュータのことを知らない生命系の人は、コンピュータならなんでも答えてくれるものと思ってしまうわけです。」
「生命情報学科では、3回生までは全員が生き物を扱う実験とDS Modelingを含めたコンピュータ関係の実習を半々の割合で行います。そして4回生の卒業研究の段階で、どちらの方向に進むかを決めます。つまり、コンピュータ関係に進む学生でも生き物を扱う経験をつめるようになっています。一度情報系の会社に入った後で、生き物を扱う経験を積もうとしたら大変です。この学科の卒業生は企業に入社した時点で、既に大学で必要なトレーニングを受けてきていることで優位性が持てます。」
「日本の企業は、昔は入社してからトレーニングするという体制でした。しかし今では、企業内研修をかなり削っています。そして、中途採用が増えてきています。これから卒業する学生は、中途採用者と戦う必要があります。本学科の学生は講義で理論を学び、実習で実践的なトレーニングを受けることで、中途採用者と戦っても不利にはならないと思います。」
「学生の将来を考えると、生命関係の学科は、本来こういう形の学科でないといけないのだと思います。ただ生命情報学科では、情報系の学生に比べ情報にさける時間も半分になるわけですから、効率よく教育するための工夫が必要になります。」
■視覚的に訴えるソフトウェアと講義を連携し、柔軟に対応できる研究者を育成
「通常テキストでやっている内容を、極力現実感があるような形の実験実習にするためにDS Modelingを活用したいですね。ソフトの使い方だけを教えるといった実習では、理解が非常に浅く、ブラックボックスでソフトを使うだけの人になってしまいます。それは、生命情報学科が育てようとしている人材ではありません。特にこの分野では、講義を通して原理を理解し、実習を通して現場を知るということが必要です。ソフトウェア技術そのものもどんどん変わり、運用技術も変わっていきますから、確かなバックグランドを持っていなければ変化についていけません。通常の講義で理論的なことを教え、具体的な結果を表示できるソフトウェアで視覚に訴える、そのような教育の形を目指します。」
「私は、道具の限界を知ったうえで使えるようにならなければならない、という点が生命系と他の分野のソフトウエアとが大きく異なる部分だと思います。例えば、橋の設計の場合、原理がはっきりしていますからきちんとした計算結果が得られます。ところが生命系の場合には、まだまだ未知のものが多く、電子相関に関係するところも近似的にしか扱えないのです。ですから、理論の有効さと限界を理解した上で必要な道具を使えるようになる事が必要です。限界や有効性を理解するには、どうしても原理を知らなければなりません。理論的なバックグランドがあれば、何かおかしいことがあればすぐ変だと気づきチェックしますが、そうでなければおかしいとも思わずに結果を信じてしまうということになります。」
■大学、学生、企業間の協力関係を構築
「大学だけではなく、ソフトウェアメーカー側にもメリットがあるようにしたいということがあります。毎年新入生が入学してソフトを使いますから、メーカーサイドから見たらマーケットリサーチを大学の中でできます。実験が好きな学生もコンピュータが好きな学生もいて、両者が同じ条件下で使うので、偏りのないコメントが出てくるのではないかと思います。ここで明らかになる問題点をできるだけ開発に反映させて欲しいですね。使う人間にとっても開発に参加することは好ましい展開です。製品をよくするというプロセスが、結果的にはこちらにとってもプラスになりますから。」
「大学にとってよく、学生にとってよく、そしてメーカーにとってもよい形であればメーカーも協力してくれると期待しました。他の大学では受けられないようなトレーニングを受けられ、且つ、多くの製薬会社でも使っているソフトを最初から使えるなら、それだけ学生の強みにもなります。また、マーケッティング的な要素もあります。もし、メーカーがいいものを供給してくれるなら、学生はいい印象を持つでしょう。そして、学生が企業に就職し、もしそこでそのソフトを使っていなければ、学生は宣伝してくれることでしょう。」
「高価なソフトであればあるほど、使える人を増やすというのがまず先決だと思います。それも、生命科学のバックグランドがある人間の使用例を増やすということが、購入先を格段に増やす手だと思います。ワープロが出た時も、マニュアルを読まなくても周りに使う人がいて教えてもらえたので、売上が増えていったわけですよね。安ければ買って試すこともできますが、高価なソフトですとそれはできません。周りに使っている人がたくさんいるということだけでも購入者に安心感を与えます。」
「メーカーに対し、問題点を確実にフィードバックさせることがポイントです。個々の先生の研究室ではなく、学科のコースにソフトが導入されているので、先生が変わっても継続的なフィードバックが保障されます。ですから、長期的なメリットがメーカー企業サイドにも、学生サイドにも、大学サイドにもあります。このようにして現場で活躍できるスキルの高い学生を世の中に出せるということは、大学にとっても非常によいことです。」
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