サブコン現場におけるCADの導入事例
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日本工業出版社刊「建設設備と配管工事」'98年12月号より
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2004年から始まる建設CALSなど、情報化の流れの中で施工図作成作業や情報管理をより迅速に進める時代になってきた。従来、設備CADによる施工図作成は専任のオペレータによる作業が中心で、現場担当者は情報を渡して作業を依頼ているのが常であったが、このような時代の流れの中で、現場担当者自身操作し、リアルタイムで施工図変更等の作業ができるCADソフトも出はじめてきている。
今回の取材では実際にこのようなCADソフトを導入している現場事務所の所長に選定の経緯、使用感等について話しを伺った。
どこのメーカーのCADソフトに限らず、従来のドラフターによる施工図作成からCADソフトによる施工図作成に変えることのメリットについて
インターネットの普及により現場と会社、もしくは現場と外注との円滑な情報(見積もり、日報などの文書は勿論のことCAD図面も含め)のやり取りが可能となったことがまず第一に挙げられる。E-mailを使うことにより打ちあわせに行き来する時間が節約できる。図面の修正についても双方で修正が可能。また修正作業そのものも紙の図面と比較すると格段に楽になって来るなど多くのメリットがある。
CADソフトを使って初めて書く図面は大変な時間がかかったとしても、次からは前回の図面からの流用が多々可能なので、一気に作業時間の短縮ができる。実際に今まで鉛筆で図面を描いていた人間が、ドラフターを使って掛かる作業時間とCADソフトを使っての作業時間を比較したとき、CADの習熟度により非常に大きな差がでることもあるが、その図面を2度3度繰り返し利用できること、慣れれば時間の問題は解決する等、導入のメリットは十分にあると考えている。
また、(CADソフトの操作を)オペレータにまかせてしまうと自分にはスキルとしてなにも残らない(コミュニケーション能力は別ですが…)。従ってソフト導入に関してのスクール料も決して高いものとは思わない。当然安いに越したことはないが(笑い)。
今回の現場では若い人間が多かったこと、ドラフターを使って図面をうまく書ける人があまりいなかったことが、導入につながったという面もある。逆に、若手がドラフター使いのプロであればみんな図面が書ければCAD化および新規導入には至らなかったとも言える。
そこでこの現場でCADを覚えてもらうことも若手育成の目的の一つとして位置付けた。今まで鉛筆で書いていたものをCADの作業に置き換えることは、慣れることが必要という面もあるが、はじめからCADを使って図面を書いている人にとっては、ゲーム感覚で覚えられるのでいいのかもしれない。教えるほうもコンパス、分度器の使い方、線の引き方を教えるよりも楽なのではないか、これからの若い技術者こそ潜在的にCADを使用したがっていることは、間違いないはずと確信している。
今回、新しいシステムに変更した経緯について
当社のCADソフトの使い始めは7~8年前に専用CADを導入し、各現場にもそのソフトを導入した。その時は会社の部内で作成したり現場に専任オペレータを置いたり、または一ヶ月のうち2~3日オペレータに来てもらい、図面の簡単な修正などを行っていた。そのような状況で今日まで至っているが、導入当時はソフトの価格も非常に高く、リース料もバカにならなかった。また、そのソフトは負荷計算、抵抗計算など、とくに施工図に必要のない、使わない機能が多すぎる。しかし今まで使い慣れていたこともあり、今回の機種変更でも社内的には統一ソフトでもあることからウインドウズ版の同一ソフトに乗り換える予定でいたが、開発の遅れなどもあり、その計画は白紙に戻された。
そこで施工図を書くことのみを目的として、技術者みんなが使いやすい、すなわちCAD未経験者でも使える新しいCADを探し始めた。
数ある専用CADソフトの中からフィルダー「FILDER」を選択した理由は
先に述べたように当社ではA社専用CADウインドウズ版開発の遅れのため、新たに使いやすい専用CADを探し始めた。多忙な中での選定作業になったので、現場にいながらにして情報を得られる手段として、資料集めの媒体はホームページを利用した。各専用CADソフトメーカーのホームページをみて選定を行ったところ、ダイキン工業のFILDERが最も当現場には適しているように見えた。また空調メーカーとしてのダイキン工業のブランド力に加えて、当社とのつき合いも浅からぬものがあり、実際に来てもらってのデモ、その後平成10年9月のAEC展での他社ソフトとの比較検討、さらに複数のCADソフトを使っているスペシャリストに見てもらい当時まだ開発過程だったため改善の必要部分も、ある程度修正していただき、これならいいだろうということで導入を決定した。最終的な決定理由としてはダイキンというブランド力・開発力、加えて価格も魅力的であったことだろうか。
今回導入した「FILDER」は現場技術者がオペレータを置かずに自らCADソフトを使うことがコンセプトになっていますが、現場ではどのように捉えていますか。
今はオペレータを雇ってCADを操作する時代ではないし、そんなことは考えていない。現場技術者自身でCADを使うことに付いては、実際に自分が使っている関係上あたりまえだと考えている。
現場技術者が自分で操作する利点は、オペレータに指示するための打ちあわせ時間が必要無いので作業効率が上がる。オペレータを置かない分経費を節約できる。自分で動かすため意思の疎通等の問題がないなどがあげられる。
日常での作業は一般的に現場対応等があるので現場事務所内で長時間図面を書くことは時間的に難しいが、ノートパソコンであれば休みの日に家で書くこともできる。
施工図を手書きで書ける人がCADを学習すれば1〜2ヶ月で使えるようになる。慣れてくればCADを使うほうが簡単である。しかしソフトの入力(操作)は出来るが、施工図の書けない学校を出たばかりのオペレータを起用した場合では修正ばかりで非効率な面もある。だから施工図を手がける人間がつかいこなせればこんな良い道具はないと思う。初めは技術者の年齢的な問題が気になったが、幸いにして前述のように今回の現場では若い技術者(私を除くと皆20〜26歳)ばかりで理想的なスタッフが揃ったといえる。
初めの現場では慣れるまで時間がかかると思うが、2〜3の現場を経験すれば技術も増えてより一層生産性が上がっていくと思う。またそれを期待したい。
景気の良くない時期(平成10年10月導入)に導入に踏み切ったことについてはどのように考えますか。
実際に景気は良くないが、さらに悪くなることも十分予想され、いま導入するしかなかったし、今後の現場施工図作業の効率化を考えて踏み切った。
−「ノートパソコンであれば家で」という話がありましたが、どの様な基準でパソコンを選定しましたか−
家でも作業が出来るように、ノートパソコンを選び、CADソフトを使うことを前提にしているので画面は一番大きいものにした。会社ではメールや資料作成等にパソコンを使用するが、私以外の現場担当者のパソコン利用はほとんど図面書きであるためこのような選択とした。
前にも述べたようにノートパソコンであれば、休みの日に布団の中でも作業ができ、月曜日には図面が出来ている。会社にとっても労働時間が増えるわけでもないので都合がよい(笑い)。現場である程度入力ができれば、後はどこでも作図作業を進めることが出来る。
実際に「FILDER」を使ってみての使用感は
ソフトの選定担当として他の人に、このソフトの善し悪しを伝えるためには、まず自分で書いてみるのが一番適切だと考え、一日の講習の後で、実際にFILDERを使って当現場の施工図を書いたところ、建築図、配管・ダクト図を4時間で書き上げることが出来た。他のソフトについてはじっくり使ったことがないので比較することは出来ないが、非常に使いやすい感想を持っている。
具体的には、まず作図時の機能を選択する5×6のアイコンの組み合わせで作図するというのが面白い。初めて見たとき「あっ、これなら使えるかな?」と思った。編集時については、図形を選んでから右ボタンで表示するショートカット機能が、いちいち機能を探す手間を省けるので良い。これは普段使っている文書・表計算ソフトと同じ操作だから、全く違和感がなく受け入れられた。
あとは選んだ部品の情報が瞬時に見られて、変更も可能というアイディアが良い。ただ、一部まだ不具合があるので、メーカーの対応を希望する。
教育ツールがもっと整備されれば、本当に誰でも習得できるだろう。まだリリースされたばかりで、機能・操作性について改善していただきたい事はこれからも出てくると思う。
我々は今後も技術者にとってより使い易くなるために、どんどん要求していきたいと思うし、ダイキン工業はそれに応えて欲しいと思う。
最後にベンダー全般に望むことはありますか
機能・性能面ではドラフター代わりの2DCADから今後3D対応が標準となってくると思う。そのような時代になっても、生産性向上を常に意識し操作性を犠牲にしないソフトの開発を望む。
価格面では昔の数百万円の時代から今日に至るように、とにかく技術者全員に普及するためにも、今よりも購入しやすい価格にしていただく努力を希望する。
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