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Users / ユーザー事例
京都大学 学術情報メディアセンター

教材作成に欠かせない実写撮影を、バーチャルスタジオで高品質化・効率化。
コンパクトなスタジオスペースからさまざまなオリジナル映像を作成。


京都大学 学術情報メディアセンター
高機能情報ネットワークシステム、大規模高速計算機システム、マルチメディアを活用した多様な情報システム、学術資源の電子化・コンテンツ化という4つの技術分野で研究開発を行う。
また、情報ネットワークの高度化・高セキュリティ化、地域・全国・国際ネットワークへの展開、吉田・宇治・桂の3キャンパスを結ぶ遠隔講義・会議システムの構築・運用、マルチメディア教材の開発など、多様なサービス業務を展開している。

所在地:京都市左京区吉田二本松町/吉田本町

京都大学 学術情報メディアセンター(以下、メディアセンター)コンテンツ作成室では、教材作成における実写映像の撮影用としてブロードキャストCGソリューションvizrtのバーチャルスタジオシステムを導入。スタジオでの実写映像にビデオ映像やCGをリアルタイムに合成し、コンパクトなスタジオスペースから様々なオリジナル教材映像を作成している。

■教育・研究活動に必要なコンテンツを、マルチメディア技術を活かして作成
「コンテンツ作成室は、撮影、CG作成、映像編集、オーサリング、パッケージングといった、マルチメディアコンテンツ作成のためのトータルな環境を備え、映像撮影、パンフレット/ポスター等の制作、Web型のHPや教材制作、それら付随するCG素材の制作などを行っています。CG、DTP、映像、写真兼企画、Webそれぞれに担当者がいます。プロジェクトがいくつも立ち上がった場合は、さらにスタッフを補充してチームを編成します。」
「コンテンツの企画はメディアセンター内にある8つの研究分野と連携して行っています。これまでに、医学部で胎児の成長過程を見せるCGアニメーションやフランスのカフェの背景を使ったフランス語のスキット、講演映像を盛り込んだ自習用Web教材などの制作を行ってきました。当初は個別の依頼を受けて作成していたのですが、2003年の秋から、コンテンツの公募を開始しました。学内から広くコンテンツの企画を募り、その中から公共性が高く、京都大学としての独自性が高く、ニーズが高いコンテンツを選定し作成を行ってまいります。初回は、部局のホームページ、薬学分野での技術英語の用語用例を見やすく体系化した教材コンテンツ、医学教育用に蓄積された顕微鏡写真を体系化した教材コンテンツなど4件を採用し、現在制作を進めています。このような中で、マルチメディア教材へのニーズは高いと手応えを感じています。」


■バーチャルスタジオシステム導入の経緯
「バーチャルスタジオシステムは、語学教材などで使う実写映像を高品質かつ効率的に撮影するために導入しました。バーチャルスタジオなら、ロケを行うよりも手軽で雑音が無くクリアな発音で収録できますし、スタジオスペースの制約にとらわれず自由な構図が作れます。また、新しい技術にいち早く取り組むことで、ノウハウを蓄積することもできます。」

「vizrtの選定理由は、3DのリアルタイムレンダリングがPC上で可能だったことです。vizrtは2001年2月に導入しましたが、導入を検討した2000年当時では、3Dリアルタイムレンダリングを行うためには非常に高速なグラフィックワークステーションが必要で、高価な上に互換性や操作性が良くありませんでした。当時からPCがかなり普及してきており、これからはPCの時代だと感じていましたので、予算面、設備の償却面に加え将来性の面からも、PCで稼動する3Dリアルタイムレンダリングシステムが最適と判断したのです。」
――vizrtは、高性能3Dリアルタイムグラフィックス機能をベースに、バーチャルスタジオ、スポーツグラフィックス、3Dマップデータベース、3Dキャラクタ生成等の機能をPCベースの優れた操作性で提供。教育用コンテンツをはじめ、スポーツ番組やニュース番組等で広く活用されている。



■運用状況
「現在は主に語学教材作成用に活用されています。語学教材では色々な場面を設定し、先生と生徒が登場して模範的な会話を行ったり例題を出したりしますので、場の設定が大切になります。ロケを行う場合は、不要な音が入ったり、人払いをしたり、天候が悪かったりと大変な労力がかかりますが、バーチャルスタジオでは、外で撮影してきたデジカメ写真やビデオ映像とCGで制作したセットで、さまざまなシチュエーションを作成し、会話を行うことができるとのことです。」

「カメラのキャリブレーションは映像担当が行い、バーチャルセットはCG担当が制作します。語学部門については、直接自分たちで制作する事になっているので、とりあえず試しに作ってみたいとか、構図はそのままで背景だけ変えたいというニーズが多くあります。そこで、あらかじめいくつか用意してあるセットの選択方法、ビデオや静止画で必要なサイズとデータの格納場所などを決めた操作マニュアルをもとに独自に運用をしてもらっています。彼らもPCの操作はできますので、私たちがサポートしなくても制作できます。これも、PCベースのシステムの利点です。語学教材以外では、経済学などのWeb教材の映像部分や講義的なコンテンツの制作に活用しています。」


▲ 語学教育用コンテンツ「フランス語」
フランス語学習者対象の語学講義法(イミーディアット・メソッド)を補助するためのビデオ教材のシーン。バーチャルスタジオを利用したセットは外国人教官の監修の元に南フランスのカフェ風に演出され、現地でロケを行ったような映像を作成。


■今後の展望
「コンテンツを作成する上で、教育上どれくらい効果があり、学生のモチベーションにどれくらい貢献したのかを評価するための基準が必要だと感じています。それは、見易さといったレベルではなく、教育効果的にどのようなデザインにすれば理解度が増すかという、教育用コンテンツに特化したデザインのガイドラインです。デザインが教育効果に無関係ではないということは、過去に遠隔講義をした時に学生に行ったアンケートを統計分析した結果からもある程度読み取れます。例えば、どういうスライドが大事だとか、スライドの中でも指示行為がわかるのが大事だということが、学生が主観的にわかりやすいと思うということと相関関係がありそうです。」

「教育工学やユーザービリティーの観点からデザインを捉えることが、eラーニングのコンテンツを作る上で重要だという認識が広がってきており、日本でも勉強する機会が増えてきています。デザイナーとエンジニアがよりコラボレーションしたり、研究を進め、より優れた教育用コンテンツを作成していきたいと考えています。」

「例えばオーストラリアでは協調学習が中心で学生同士のディスカッションが重要だそうで、商用のeラーニングプラットフォームでもそのような機能の充実が図られているようですが、日本の大学教育は講義が主体ですので講義的なコンテンツが中心になります。このために現在、講義自体を撮影してコンテンツ化することを試みていますが、もう一方でスタジオで映像を撮影する機会も増えてくるのではと期待しています。」

「バーチャルスタジオには、コンテンツを作る際に色々なパターンのセットをデータとして持っておけるというメリットがあります。大学では、1つずつコンテンツを作るということはなく、色々なコンテンツを並行して進めることが必要になりますが、そのような場合にはバーチャルスタジオが向いています。一方、講義的なコンテンツを収録する場合、撮影の前に、講議して頂く先生方とよく打ち合わせ、リハーサルをしなければ、自然なコンテンツに仕上がりません。実際の講義では、その場にいる学生に向かって話したり、教材を示したりしますが、バーチャルスタジオで撮影する場合は、実際には存在しないスライド等の資料を扱う事になりますし、目線もカメラに向けてもらわなければならないからです。しかし、スタジオで収録したコンテンツは、教育効果の高い教材を制作するためには有効であり、今後ニーズが増えていくでしょう。実際の講義風景を撮影するよりも手間もかかるので、使い分けていくことになるでしょうが、大学ならではのコンテンツ作成に利用する方向と可能性を探っていきたいと考えています。」


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