Maya 2017にはArnoldが搭載されました。Arnoldは最高のレンダラの1つで、レンダリングプロセスを高速化し、より優れた結果をもたらします。
Mayaのアニメーションワークフローは、これまでのいくつかのリリースでも大きな変更がいくつかありましたが、今回は、新しいタイムエディタと改良されたグラフエディタにより、Mayaでのアニメートがより高速になり、使いやすさも向上しています。
Maya 2017には、Maya 2016 Extension 2で初めて導入された新しいモーショングラフィックスツールセットも搭載されており、モーショングラフィックスデザイナーは独自のアニメーションをすばやく簡単に作成することができます。
Bifrost Ocean Simulation System により、波、波紋、航跡などを含む、リアルな海面を作成できます。平らなメッシュから始めて、その上にソルバとインフルエンスを重ねてミックスします。
各要素は他の解像度からは独立していて、それぞれ別々にキャッシュして再生を高速化することができます。結果の変形されたメッシュを直接使うことも、別のメッシュに結果を転送することもできます。また、レンダリング時に、キャッシュされたEXRファイルをベクトル ディスプレイスメントマップとして使用することもできます。
ガイド付き液体シミュレーションがセットアップしやすくなりました。変形する閉じたボリュームをエミッタとして使用する代わりに、変形平面やその他の平らなメッシュをガイドとして使用できるようになりました。さらに、シミュレーションを特定の領域に限定したり、追加のスプラッシュ用にガイドの上でレイヤをシミュレートしたりすることができます。
Bifrost Liquid Properties Containerノードの粘度(Viscosity)に、物理的に正しい値を設定できます。物理的に正確でないスケール設定も、正確さが必要でない状況で結果の生成速度を上げるための速度スムージング係数として引き続き使用できます。
新しい撹拌(Churn)と曲率(Curvature)のチャネルにより、液体のどこで曲率と撹拌が生成されているかを確認できます。有効にすると、Bifrostが曲率と撹拌の値を計算します。この値はビューポートでカラー チャネルとして表示できます。これにより、泡オブジェクトを追加する前に、液体中の泡の放出の潜在的な位置を視覚化できます。また、この情報を使用して、シミュレーション前に泡の正確な[液体の最小撹拌]値および[液体の最小曲率]値を判断することもできます。
新しい[浸食](Erosion)アトリビュートは、液体の境界がシュリンクラップしてどれだけ近くパーティクルの位置に戻るかをコントロールします。これらのアトリビュートを使用して、静止した水に対する弱い流れや激しい水しぶきなどの、さまざまな状況で問題を回避できます。
乱流の液体で、[浸食](Erosion)アトリビュートを使用して、ボートの船首波の前で「波に乗る」高速なパーティクルや、コライダの壁の付近での液体の反発、パーティクルの凝集、上昇するパーティクルなどの問題を回避します。浸食の設定は、静止した水の平衡状態を実現するのにも役立ちます。
モーションフィールド(Motion Field)を使用して、パーティクル速度に直接影響を与えることができます。
Bifrostシミュレーションでキルフィールドを使用して、不要な液体パーティクル、泡パーティクル、またはAeroパーティクルを削除します。パーティクルが特定のボリューム内にある場合に、特定の基準に基づいてパーティクルに影響を与えます。
ワークスペースは、ウィンドウとパネルの構成を定義します。ワークスペースは、ウィンドウとパネルを開いたり閉じたり移動したり、ドラッグ&ドロップでドッキング/ドッキング解除することで変更できます。これらの変更は自動的に保存され、現在のワークスペースを無効にします。
ワークスペースは、ユーザーが任意のウィンドウやパネルをインタフェース内のほぼどこにでも移動してドッキングできるため、パネルレイアウトより柔軟性があります。ワークスペースはシーンに保存されるのではなく、個別のファイルとしてユーザーディレクトリに保存されます。
バイザーに代わる新しいコンテンツブラウザは、Mayaでのシーン構築に使用されるサンプルやシーン、その他のコンテンツが集約された中心となる場所です。
Mayaプロジェクト、ローカルおよびネットワークディレクトリ、サンプルライブラリ内のファイルにナビゲートして、それらをビューパネルにドラッグ&ドロップします。
アニメーションワークフローのバックボーンであるグラフエディタ(Graph Editor)のインタフェースが刷新され、アニメーションプロセスを合理化するために、より直感的になりました。
再設計されたグラフエディタ(Graph Editor)は、カーブの可視性を重視しています。カーブとバックグラウンドのコントラストを強め、スタックビューを簡略化し、タイムラインをグラフエディタ(Graph Editor)の上に移動しました。
タイムエディタ(Time Editor)は、高度なアニメーション編集のための、非破壊のクリップベースのノンリニアアニメーションエディタです。
キャラクタセットを必要とするTraxエディタとは異なり、タイムエディタ(Time Editor)では、アニメーターが文字、カメラ、カラーなどアニメーションカーブを持つあらゆるアトリビュートで自由に作業を行うことができます。モーションキャプチャ(複数テイクのFBXファイルも含む)やキーフレームモーションなどの既存のアニメーションを、トリム、スケール、ループ、分割、グループ化、クロスフェードの直感的なコントロールで簡単に編集できます。
タイムエディタ(Time Editor)は、標準的なオーディオミキシングソフトウェアに基づくクリップベースのワークフローを使用してオーディオを編集することもできるため、アニメーションをミックスしてまったく新しいモーションを作成できます。
評価ツールキット(Evaluation Toolkit)は、シーンの正確性とパフォーマンスの問題を診断できるよう設計された、検査ツールとデバッグツールの新しいセットです。これは以前の評価マネージャのデバッグシェルフ(以前はMayaシェルフとして利用可能で、ボーナスツールで配布されていました)の改良版です。
これらのツールをMayaで直接利用可能にすることで、新しい評価モードの意味を理解したいすべての人にアクセスを提供します。
評価ツールキット(Evaluation Toolkit)を使用すれば、評価マネージャのすべての面を操作できる機能(デバッグ モードと出力の有効化など)で、アニメーション作成をスピードアップできます。
インタラクティブなグルーミングスプラインを使用すると、XGenのすべての種類のヘアとファーのグルーミングが簡単かつ高速になります。新しい直感的なブラシベースのツールにより、ヘアやファーのスタイリングやポーズ設定のコントロールや精度が向上します。
またXGenでは、新しいMayaベースのディスクリプション、ヘアスカルプト、モディファイアノードを作成してグルームを調整できます。スカルプトモディファイアレイヤを使用して、インタラクティブなグルーミングツールで作成したエフェクトをブレンド、レイヤ化、またはキー設定します。その他のインタラクティブなグルーミングモディファイアは、ヘアの形を整えるための追加のオプションを提供しており、ヘアのグルーミングをアニメートまたはシミュレートできます。
これらのノードは、お使いのシステムのグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)で計算を行い、ブラシストロークがリアルタイムに表示されるので、作業を中断してプレビュー生成を行う必要がないインタラクティブなワークフローを実現します。インタラクティブなグルーミングスプラインのデータはすべて、PtexまたはXPDサイドカーファイルを使用せずにMayaシーンファイルに保存されます。
UVエディタ(UV Editor)ツールでは多数の点が改善されています。
Maya 2017にArnold for Mayaが搭載されました。このプラグインは自動ロードされて、Mayaの優先レンダラとしてArnoldが設定されます。
フレームのシーケンスをインタラクティブにレンダリングできるようになりました。
アニメーションフレームのシーケンスを、バッチレンダーせずにレンダリングできます。プレビュー用にこれらのイメージをレンダービュー(Render View)に追加することもできます。
ビューポート2.0の適応方法を使用してディスプレイスメントマップの結果を表示し、最終レンダーでどのように表示されるのかをより的確に把握できます。
ハイパーシェード(Hypershade)のマテリアルビューア(Material Viewer)で、ヘアのスウォッチジオメトリを使用して、ヘアシェーダをレンダリングできるようになりました。
Maya 2017には、カラー管理のためのさまざまな改良および修正が含まれています。
OpenColorIOの環境変数、OCIO_ACTIVE_DISPLAYSおよびOCIO_ACTIVE_VIEWSがサポートされています。
またMaya 2017は、Academy/ASC Common LUTフォーマットのファイル(.clf)もサポートしています。これらを入力、表示、出力のユーザーカラー変換として追加できます。
UIエディタで、カラー選択が適切に動作するようになりました。ビュー変換、露出設定、ガンマ設定の効果なしで、レンダリングスペースでカラー値が返されます。
MASHメニューやワークスペースなど、MASHツールキットに数多くの改良が加えられました。
アニメーションメニューセットおよびFXメニューセットに、MASH独自のメニューが含まれるようになりました。これまで作成メニューからアクセスできたMASH関連のメニューはすべてここにあります。
また、MASHの機能には、新しいMASHワークスペースおよびモーショングラフィックスワークスペースからもアクセスできます。
新しいMASHエディタは、シーン内のMASHネットワークの管理を容易にするよう設計されています。ここから、個別のネットワークの選択、名前変更、削除ができ、さらにノードの追加、有効化/無効化、順序変更も可能で、ネットワーク上の累積エフェクトを変更できます。
特定のアトリビュートのチャネルに、特定のノードを適用する必要がなくなりました。
替りに、すべてのノードがすべての該当するチャネルに同時に反映されます。たとえば、以前はネットワークの移動用に1つのノイズ(Noise)ノードを作成し、別途(ローカルもしくはワールド空間で)スケールする必要がありましたが、その両方の機能を単一のノイズ(Noise)ノードでコントロールできます。
さらに、すべてのノードに1つの入力および出力接続があります。これによって、グラフエディタの煩雑さが大幅に軽減されました。
MASHネットワークから情報を抽出する古いスクリプトベースのメソッドは、新しい断面(Breakout)ノードに置き換えられました。
新しい信号(Signal)ノードは、古いノイズノードと三角法ノードの機能を組み合わせて拡張しています。これは移動、回転、スケールのチャネルに同時に反映させることができます。
新しい強さ(Strength)ノードは、古いミュートノードに代わるもので、機能拡張されています。これは移動、回転、スケールのチャネルに同時に反映させることができます。
新しい UVメッシュ(UV Mesh)スロットがカラー(Color)ノードに追加され、プリミティブのカラー設定に役立つようにメッシュのUVをMASHネットワークに割り当てます。
フライト(Flight)ノードの新しいアトリビュートにより、点が現在のフライト方向に自動的に向くようになります(以前は、追加の方向ノードをアタッチする必要がありました)。
軌跡(Trail)がカラーチャネルに接続されるようになりました。アタッチしているカラーノードのカラーを軌跡に継承させるには、軌跡(Trail)ノードを選択し、頂点のカラーリングを有効化します。
[ランダムタイムスケール](Random Time Scale)アトリビュートが タイム(Time)ノードに追加され、パーティクル単位のアニメーションループの長さをランダムにスケールできるようになりました。また、このノードは[メッシュ]の[ジオメトリ タイプ](Mesh > Geometry Type)を使用してMASHネットワークを作成するときに、自動的に追加されることはなくなりました。
分解(Explode)ノード、フライト(Flight)ノード、ランダム(Random)ノード、対称(Symmetry)ノード、トランスフォーム(Transform)ノードが最適化され、処理速度が向上しました。
MASHネットワークの作成プロセスに既定の命名と配分を割り当てたり、ネットワークの作成時に新しい名前の入力を求めるプロンプトを表示するよう強制したりすることができます。