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研究開発部門の技術成果物を、拠点や部門を跨る約2万人が共有

富士電機株式会社

富士電機株式会社

『技術成果を全社で共有する』という創業以来の方針を、情報開示と漏えい防止を両立する情報基盤に具現化。最先端の研究成果物を約2万人の社員が安全・スピーディに共有し、競争力を強化。

以下は一部抜粋です。記事全文と運用イメージはこちら!

技術力を原動力に進化を続ける、富士電機。同社には『技術成果を共有する』という創業以来の行ってきたことがある。その手段として、研究開発部門の技術成果をまとめた『Fuji Technical Review(FTR)』を月次で発行。2000年にはイントラネットへの掲載も開始した。その後、技術革新や市場の変化が加速し、競争も熾烈化。貴重な技術成果物の流出防止策を強化すると共に、情報活用を一段と加速できる環境が求められていた。このような要求に応えるべく成果物管理の枠組みを刷新。その情報基盤として導入されたのがSpaceFinderである。

導入の背景~システム選定

『技術成果を全社で共有する』という方針をより高いレベルで実現するために情報基盤を刷新

荻野 慎次 氏

技術開発本部
技術統括センター 技術企画部
荻野 慎次 氏

荻野氏当社では、技術開発本部のもとに、先端技術研究所・コア技術研究所・IoTプロジェクト室を擁し、材料や熱冷却、電磁気応用、化合物半導体、燃料電池、パワーエレクトロニクス、計測制御技術、IoTをはじめとする幅広い分野の研究を行っています。そこで作成された報告書・特許提案・社外発表を技術成果物として、技術統括センターにて一元管理するとともに、FTRとして社内に発信しています。その管理・閲覧システムのサポート終了を機に、システムの刷新を行うことになったのです。

2015年7月のリプレース期限を見据え、2014年春にシステム選定を開始。文書管理システム、ワークフローシステム等を調査・検討し、2014年10月にSpaceFinderが導入された。

荻野氏SpaceFinderは電子帳票とワークフローが一体化され、バラバラに管理されがちな『技術情報』と『プロセス』を同一基盤で管理できます。さらに、複数帳票が連携した情報管理が可能で、イメージしていたセキュリティ強化の仕組みが実現できると思いました。また、帳票やワークフローの設計がGUIで可能な点をはじめ、発番・検索・閲覧における当社の要求項目に対しても、総合的に優れていました。

運用状況・導入効果

セキュリティを確保した上で、拠点や部門の壁を超えて約2万人が技術成果を共有

新システムはTeRMS(Technological Results Management System:タームズ)と命名され、2015年4月に運用を開始。富士電機の本体・子会社で約2万人の社員が活用している。TeRMSおよびFTRの運用管理に携わる人員はわずか数名。円滑で安定した情報基盤が、その活動を支えている。

荻野氏構築当初はワークフローをきっちり作成していたのですが、実際に運用を開始すると、入力ミス等によりフローが回らなくなる事態が発生。ユーザーは、こちらが思ったように仕組みを理解して操作してくれるわけではありません。そのため、ワークフローを緩やかに変更しました。

「そういったことは、試行段階ではわかりませんでした」と語る荻野氏。このような場合でも、SpaceFinderは柔軟にシステム変更が可能だ。
田村 修一 氏

富士電機ITセンター(株)
グローバルシステム部 共通システム課
田村 修一 氏

田村氏TeRMSでは、『報告書』『試験・分析報告書』『特許申請』『社外発表』という4種類の帳票を使って、成果物の登録から承認、発番、FTRでの発信までが一連の流れで行われます。FTRはイントラで公開。報告書の一覧が表示され、閲覧したい報告書をクリックすると、認証画面を経てTeRMSにアクセスします。『報告書』帳票は完成した成果物の登録・公開フローで、『特許申請』と『社外発表』は申請や発表の可否自体を判断するフロー。特許明細や発表資料等が成果物として登録されます。特許申請が承認されると、知的財産センターが管理している特許管理システムにAPIでデータが連係されます。

TeRMSの最大の特長は、徹底した情報漏えい対策だ。年間で2,000~3,000件がTeRMSに登録される。その多くが報告書で、全社公開となった報告書は権限のある社員であれば自由に閲覧できる。そのため、情報セキュリティ対策は万全でなければならない。

情報漏えいを防ぎ、さらに、情報流通を円滑化する独自の仕組み

荻野氏今回、成果物の公開範囲について、全社公開(FTR公開)・技開本内公開(技術開発本部内公開)・関係者外秘という3つの区分を設けました。関係者外秘を選択した場合は、公開する人や部署を個別に指定。また、技開本内公開を選択した場合でも、その他の人や部署の追加設定を可能にすることで、実運用を阻害することなく情報管理ができるようにしています。公開範囲は成果物の登録者が設定するのですが、申請・承認フローの過程でその妥当性がチェックされ、適宜変更されます。閲覧権限の付与はシステムで自動処理されるので、人為的なミスを防止しています。

報告書はなるべく全社公開で登録する方針。一方で、NDA(秘密保持契約)等の関係で公開範囲を厳密に管理する必要があった。今回のセキュリティ強化で研究者が安心して登録できる環境が整い、情報発信がさらに活性化するに違いない。一方、特許申請と社外発表は技開本内公開が基本。必要に応じて個別に公開設定することができる。

荻野氏公開範囲をさらに厳格に管理するために、帳票連携機能を活用。『報告書』帳票には報告書の概要だけを記載し、そこから『副文書』帳票を起票して報告書の本文ファイルを登録する仕組みになっています。公開範囲はそれぞれ別個に設定できるので、概要は閲覧できるが本文までは閲覧できないといった設定が可能です。本文ファイルが登録されると、そのリンクが『報告書』帳票に自動反映。そのリンクをクリックすることで、ビューワーが起動して本文を閲覧できます。以前は『複写願い』を提出し、申請が許可されると事務局が原本をコピーして送付していましたが、ビューワーで閲覧させることで、情報の持ち出しを防止しています。もちろん、副文書の閲覧権限が無いユーザーにはビューワーは起動しません。また、報告書の閲覧状況をログ管理できる点もメリットです。

旧システムに登録されていた約6万件のデータもTeRMSに移行され、同じ環境で閲覧可能になっている。TeRMSの運用開始後は、報告書の紙管理を廃止。事務局での現本管理やコピー作業が不要になるとともに、ユーザーにとっても報告書を閲覧するための手間と待ち時間がなくなり、情報共有が加速した。報告書は一部で数百ページに及ぶ場合もあり、省資源・省スペース面での効果も大きい。
藤井 浩 氏

技術開発本部
技術統括センター 技術企画部
藤井 浩 氏

藤井氏報告書によっては、本文のダウンロードだけでなく、閲覧も制限する場合があります。本文を閲覧したい場合やファイルを入手したい場合は『閲覧・ダウンロード許可願い』を起票します。申請者の所属部署、報告書の作成部署等の承認を経て申請が受理されると事務局にメール通知され、事務局が『副文書』帳票に申請者を閲覧可能ユーザーまたはダウンロード可能ユーザーとして登録し、同時に期限も登録します。『副文書』は報告書ファイルの登録とダウンロードの管理を行う重要な帳票ですので、この帳票を編集できる人は限定しており、ダウンロード権限が設定されたユーザーには通知メールが自動配信され、そこに貼られているURLをクリックして『副文書』帳票にアクセスすることでファイルをダウンロードできます。ダウンロード期限が近づくと本人と事務局に通知メールが配信され、必要に応じて事務局によって期限の延期を行うこともできます。

より多くの技術成果を、技術職や営業職をはじめとする、より多くの社員が共有することがFTRの目的。事業部門に技術成果を積極的に発信していくことは、研究部門の務めでもある。「その環境がセキュリティを確保して強化できたことは大きな成果」と荻野氏は語る。

今後の展望

事業部門の技術成果も取り込んで、共有化。研究開発資料の一元管理にも展開を模索

中村 千登世 氏

技術開発本部
技術統括センター 技術企画部
中村 千登世 氏

中村氏SpaceFinderは、元々は技術開発本部の成果を管理するために導入しました。一方で、事業部門が持っている技術成果も含め一元的な管理と共有化を行うという狙いもありました。今回ようやくその環境が、SpaceFinderが持つ公開機能を使ったTeRMS上で実現しました。今後は、この仕組みをPRし、部門間の協働をさらに推進していきたいと考えています。また、登録時点で公開範囲を制限していた成果物でも、時間が経てば全社公開に移行できる場合がありますので、時系列で情報を管理して公開範囲を変更できる仕組みも考えたいですね。

荻野氏最初にSpaceFinderの説明を聞いた時に、研究開発テーマに関わる様々な文書を一元管理できる点も魅力だと感じました。実際に、TeRMSを使った研究員から「副文書として関連資料を自由に添付できるので書類管理がすごく楽になった」という声があがっています。また、研究開発で作成する様々な資料をファイルサーバで管理してメールでやりとりし、それを版数管理して一覧表にまとめるといった作業も不要になります。このような用途にも展開できないかな、と個人的には考えています。

お客さまプロフィール
富士電機株式会社
本社 東京都品川区大崎一丁目11番2号 ゲートシティ大崎イーストタワー
資本金 47,586,067,310円 (2016年3月31日現在)
従業員 連結26,508名 (2016年3月31日現在)
事業内容 1923年の創業以来、エネルギー技術を革新し、産業・社会のインフラ分野で社会に貢献している重電大手メーカー。エネルギー・環境技術を革新し、発電システムやエネルギーマネジメントシステムをはじめとする『発電・社会インフラ』、変電、産業プラントや産業計測機器をはじめとする『産業インフラ』、インバータや電源機器をはじめとする『パワエレ機器』、パワー半導体をはじめとする『電子デバイス』、冷熱技術をコアにした自販機等の『食品流通』という5つの領域で事業を展開。経営理念に掲げるスローガン「熱く、高く、そして優しく」のもとチームとして総合力を発揮し、顧客のさまざまなニーズにスピーディに応えている。
コニカミノルタ株式会社

東京工場

  • 販売パートナー キヤノンマーケティングジャパン株式会社
  • 記載されている製品名、会社名は各社の商標もしくは登録商標です。

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