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量産までに不具合を徹底的に潰し、品質作り込み、開発L/Tを短縮

コベルコ建機株式会社

クレーン事業本部

旧社名:コベルコクレーン株式会社 本事例は取材時点の内容です。

コベルコ建機株式会社 クレーン事業本部

環境変化への対応で主力21機種を同時にフルモデルチェンジ。その試作段階で不具合の対策完了までを漏れなく監視。量産までに不具合を徹底的に潰し、品質の早期つくりこみと開発リードタイム短縮を実現。

以下は一部抜粋です。記事全文と運用イメージはこちら!

建設機械では排ガス規制強化のサイクルが加速。製品開発をそのタイミングにあわせていかに短期化できるかが、経営に大きな影響を与えるようになってきた。コベルコクレーンでは、この変化を見据え、早くから『開発リードタイム短縮プロジェクト』を始動。その目覚ましい成果が、2011年1月に施行された新規制への対応だ。世界に先駆けて主力21機種(以下、Gシリーズ)を同時にフルモデルチェンジして業界に大きな衝撃を与えたのである。今回の事例では、Gシリーズ開発における試作不具合の潰しこみを中心に、市場品質情報管理と次期開発へのフィードバックについてもご紹介する。

Gシリーズ開発における課題

共通モジュール化徹底・初のシリーズ21機種同時開発。その試作不具合をいかに徹底して潰しこむか

開発本部 クレーン開発部 汎用クローラクレーン開発室長 丹治氏Gシリーズは当社初の大規模な多機種同時開発。開発部門は1台の試作出図が終わると次の開発に着手する一方で、試作組立/試験が並行。抽出された不具合が開発にフィードバックされるというように同時並行で動くことになります。

Gシリーズでは、部品を徹底的に共通モジュール化。不具合をタイムリーに潰しこまなければ、続いて設計する機種で次々と再発し、開発スケジュールがなし崩しになってしまう。

開発本部 開発企画部 開発企画室長 工学博士 水谷氏Gシリーズ開発におけるもう一つのポイントは、量産図面の品質をいかに上げるかということでした。多くの機種が一気に生産ラインに流れますので、試作段階での不具合を残したままでは大混乱に陥るのは必至です。それを避けるためには、試作段階でどれだけ徹底的に不具合を潰しこめるかが鍵となります。

不具合の徹底的な潰しこみと再発防止。これを、かつてない多機種同時開発で成し遂げるには、従来の紙と人手による管理では「とても回らない」。そこで目に留まったのがSpaceFinderだ。システムを自分で“触ることができる”柔軟性と製造業での実績が評価され、2009年1月に導入。同年5月に『不具合抽出・対策シート帳票』が運用開始された。

試作不具合管理での活用・効果

かつてない多機種並行開発ながら、スケジュールを守って品質向上、不具合コスト抑制

コベルコクレーンでは、Gシリーズの開発にあたり、開発試験部門、試作組立室を創設。開発部門を試作組立、試作試験から切り離すことで設計に専念させ、同時に、不具合抽出強化・対策結果判定の厳格化を行った。『不具合抽出・対策シート帳票』により、部門・拠点間で情報共有を加速し、対策遅延防止・対策漏れ撲滅に効果を発揮している。

互換機種を含めて、不具合対策完了までを漏れなく監視。量産段階に不具合を持ち越さない

品質保証部 試作組立室長 中島氏試作組立室では、組立のプロが不具合を抽出し、不具合抽出・対策シートを起票。不具合内容は写真を添付して具体的に記述し、さらに 改善提案までを行います。起票と同時に開発部門に流れ、対策結果は試作組立室が合格判定を行います。不具合の抽出だけでなく、対策完了までのけじめをつけることで、量産段階への不具合持ち越しを無くせました。さらに、我々が指摘したことが確実に図面に反映されるので、SpaceFinderは現場のやる気をさらに高めるための恰好のツールにもなっています。

Gシリーズ開発では、21機種に対して試作機10台を製作。抽出した不具合が他の試作機にも対策を横展開する必要がある場合には、互換性情報を入力。試作組立室がそれらの試作機で対策結果をチェックし、全機種が合格しないと対策が完了しないという、非常に厳格な管理を実施している。

水谷氏設計変更した結果、たとえ当該機がOKでも、他の試作機で干渉することがあり、その場合は、両方に合う形に再度設計変更を行います。

Gシリーズの開発では、千数百件の試作不具合が抽出された。それらが確実に潰しこまれ、量産段階への不具合持ち越しはほとんど無かった。生産部門からは、“これだけの機種開発で混乱を最小限に抑えることができた” と評価の声があがった。

不具合対策の進捗を日々関係者に配布。全体像を共有した上で、個別案件の追い込みが可能に

水谷氏対策進捗を、開発受付、開発承認、開発試験室是正確認という指標でグラフ化し、毎日関係者に配布しました。いま全体で何件不具合があり、そのうちどれだけが対策完了しているといった全体像を共有した上で、「あともう少し!」とメンバーを追い込むことができました。

丹治氏開発を統括する立場としては、自分の見たいタイミングで今の状況がわかるのがうれしかった。開発担当者は次の設計をしつつ設計変更 も行うので、非常に苦しい時期がありましたが、遅延している案件を抽出して、個別にきっちりフォローできました。約50ヶ月の開発過程では予期せぬ問題がおきることもありましたが、納期を守って完了できました。SpaceFinderは常に進捗の差異をチェックでき、開発期限遵守に寄与してくれました。

前の機種の不具合を次の設計に反映し、不具合再発を防止。9、10号機ではほぼ不具合発生せず

丹治氏抽出された不具合は、当該機に迅速に対策すると共に、次の設計に反映することで再発防止を図りました。1号機ででた不具合は、4号機以降では潰せていました。それが次第に積み重なり、後に行くほど試作出図の品質は向上。9・10号機では、ほとんど不具合は出ませんでした。

Gシリーズで全面導入した3D CADの効果もあり、前回の開発と比較すると、1台あたりの試作不具合が7割も減少。開発リードタイム短縮とともに、不具合コストの抑制にもつながった。

水谷氏不具合対策で手を加えるたびに費用が発生します。過去には開発費が超過したことが何度もありましたが、このGシリーズでは、開発当初に決めた開発費を守ることができました。

不具合の内容と対策が自然にDB化。様々な切り口で次期開発のINPUT情報として取り出せる

丹治氏従来、不具合内容とその是正結果や関連資料は別管理だったこともあり、情報整理が非常な負荷になっていました。SpaceFinderでは、一連の対策報告のなかで原因区分やDR反映区分、重要度等が確実に登録されます。それらを組み合わせて欲しい情報が高い精度で入手できるので、大幅なスピードアップが図れるようになりました。

試作前に徹底的に問題を潰しこむ、DR体制強化の取組みがSpaceFinderで始まっている。

セクションの枠を超えたバリアフリーな社内環境で部門間連携が強化されたことも大きな成果

丹治氏SpaceFinder導入後、部門を超えて定期的にミーティングを行うようになりました。進捗管理もSpaceFinderで行っており、それをベースに、「今こういう図面を書いています。来週にこの図面が出ます」といった情報を逐一共有することで、他部門が事前に準備できたり、時間がかかるようであれば図面が出る前に並行して作業を進めるといったことが、情報ベースで動けるようになりました。これも大きな成果ですね。

市場品質情報管理での活用と効果

品質問題をグローバルで一元管理。進捗見える化・ナレッジ共有、次期開発へのフィードバックを加速

『不具合抽出・対策シート帳票』に続き、2011年2月から『サービス業務報告書』が運用開始された。それまでメールや紙で運用していた書式をワークフロー帳票化し、さらに、対策内容や関連資料も一元管理。市場での品質問題が発生すると、国内サービス拠点やアメリカ、中国、ドバイ、インドの現地法人がSpaceFinderで起票。問題発生をグローバルで即時に情報共有され、その対応進捗もダイレクトに見える化している。

水谷氏前日に報告された品質情報について毎朝の会議でSpaceFinderの『サービス業務報告書』を見ながら、対応責任者を決め、ワークフローを回しています。起票後の対応がわかるようになり、特に情報が伝わりにくく時差のある海外のスタッフは喜んでいます。また、東日本、中部、西日本、海外といったエリアを指定して自動的に第一報を配信できるようになりました。北米で起きていることを欧州が知らないではすまされないので、情報発信のスピードがあがり、共有化のレベルアップも図れています。

いまどこで止まっているのかがわかるので直接その担当に確認できる、対策の過程もメールや電話での個人的なやりとりではなく、グローバルで共有化できるようになったと語る小澤氏。しかし、一番の効果は、過去の品質情報の見える化だという。

カスタマーサポート本部 カスタマーサポート部 海外サービス室 小澤氏何かトラブルを抱えたときに過去の事例を検索しても、以前はトラブルがあったという事実だけで、どうやって解決したという情報が紐付いていませんでした。それが、SpaceFinderを導入して初めてわかるようになったというのは大きな効果。これにより、以前の対処方法を確認して、より迅速な対応が可能になりました。今は、「トラブルがあって自分が知らないことはまずSpaceFinderを見てみよう、見て無かったら初めて聞こう」というように変わってきています。市場から報告された不具合が当社大久保事業所内でどのような検討がなされ、対策に至っているのかをSpaceFinderを通して知ることができるので、お客様への中間報告、そして最終報告が容易になりました。また、対策スピードの向上も図れています。

お客さまプロフィール
コベルコ建機株式会社 クレーン事業本部
事業内容 2004年の発足以来、クレーン事業に特化した建設機械メーカーとして、専門会社である強みを活かしながら「意思決定と行動のスピードアップ」と「経営のグローバル化」を推進。主軸であるクローラクレーン事業では、全世界でトップレベルのシェアを長年維持している。
コベルコ建機株式会社 クレーン事業本部

大久保事業所

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