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手戻り削減と開発遅延防止を目指し技術情報蓄積と活用を仕組み化

オムロン リレーアンドデバイス株式会社

オムロン リレーアンドデバイス株式会社

手戻り削減・開発の遅延防止を目指し、技術情報の蓄積と活用の仕組みを開発プロセスに埋め込む。規格や法規制対応のノウハウ集積、海外との情報連携など、さらなる展開も視野に。

以下は一部抜粋です。記事全文と運用イメージはこちら!

環境・安全対策や顧客ニーズの高度化など、設計難易度がますます増大する中、ナレッジやノウハウの価値がさらに高まっている。しかし、技術者の世代構成の偏りや開発人員のスリム化などにより、これまで個人間で行われてきた技術伝承が機能不全に陥っている企業も多いのではないだろうか。グローバルに事業を展開するリレー専業会社オムロンリレーアンドデバイス株式会社(以下、オムロンリレー)も、このような状況に直面。過去不具合の再発や課題解決に時間がかかり、開発遅延が問題化していた。

導入前の問題点

蓄積した知識や情報の伝承が不十分で、開発の手戻り、納期遅延の主要因になっていた

西山 健 氏

技術センタ 開発・設計部
技術管理グループ
主査 西山 健 氏

西山氏当社では、経営目標に沿って現状の課題を分析し、自律的に解決を図る『開発プロセス革新活動』を、2007年より展開しています。人材力アップやレビュープロセス改善など、部門を横断したチームが複数立ち上がっていますが、その中でもSpaceFinderを活用した『技術情報の蓄積と活用の仕組みづくり』は、開発プロセス革新の基盤インフラとして取り組んでいる重点テーマです。

オムロンリレーでは2005~6年頃から開発期間が長期化する案件が発生。要因分析の結果、開発手戻りが最重要課題として浮か び上がった。近年、若手技術者を積極的に採用したこともあり、彼らを指導する立場の中堅技術者が不足。その結果、過去と同じ失敗を繰り返したり、課題の解決に時間がかかってしまうことが、開発遅延の大きな要因となっていたのである。
辻 秀明 氏

技術センタ センタ長 取締役
辻 秀明 氏

辻氏これまでの技術伝承は、上司と部下、先輩と後輩という関係の中で行われてきたわけですが、ここに来ていろいろなところで綻びが生じてきました。これからは、ノウハウを共有化して伝えていく、誰でも見られるような状態にするということが大変重要です。もちろんデータベース化には過去から取り組んできましたが、データの入れる場所が散在し、簡単に引き出す手段がありませんでした。そこをしっかりシステムで構築できれば、いままで蓄積してきたノウハウはすべて確実に伝承できると思っています。

西山氏手戻りを無くすためには、過去の経験や知見を生かすことが重要です。近年、顧客ニーズの高度化や小型化、省エネ化への対応などにより、例えば、接点を押す加重や離れた時の距離などのパラメータを非常に狭い幅でピンポイントに設定しなければならなくなっていますし、小さなパッケージに多くの機能を盛り込むために形状的な工夫が更に必要になっています。このように設計を追い込んでいく上で、過去の経験が非常に活きるのです。

「オムロンリレーには、30年を超えるリレー開発・製造で蓄積した膨大な知識や情報があるにもかかわらず、資産として十分に活用されていない」。トップから若手まで、この思いは共通していた。この現状を打破すべく立ち上がったのが、西山氏をはじめとするDB構築チームのメンバーだ。若手中心の設計部門、材料技術部門、商品技術部門、品質管理部門からなるクロスファンクション型チームである。

選定理由

自分達で現場の課題を解決するためのツールだから、自分達でいじれることが前提

SpaceFinderは、ヤンマーグループ全体で2,000名以上、中央研究所では約550名が利用。主な選定理由は、複雑な業務への適応性、外部システム連携の容易さ、ユーザー部門でも構築・改修ができる操作性。実際に構築を担当された方々に感想をお聞きした。
福井 教夫 氏

技術センタ 開発・設計部
技術開発・設計グループ
福井 教夫 氏

福井氏実は、オムロンリレーでは、過去にも何度かDB化が試みられていました。しかし、その際は単なるツール提供にとどまり、プロセスや人の意識を変えていく視点に欠けていたため、長続きしなかったり、個別の情報を扱うのみにとどまっていました。その反省を踏まえ、今回の取り組みでは、DBを開発プロセスに埋め込み、業務直結型にすることで使う必然性を作り出す必要がありました。

この目的に合致するシステムはないか、2007年春に調査を開始。検討の結果、2007年12月にSpaceFinderが導入された。

西山氏SpaceFinderの選定理由は、電子帳票機能が優れ、自分達でその設定を行えるということです。単なるフォルダやファイルのツリー構造ではなく、電子帳票インタフェースがあることで、ユーザーの開発プロセスにSpaceFinderを組み込むことが可能になります。さらに、自分達で現場の課題を解決するというスタンスで望んでいますので、仕様ありきで納品してもらうのではなく、自分達で設定や変更が行えるということも必須条件でした。このようなシステムは、SpaceFinder以外にありませんでした。開発元であるダイキン工業が我々と同じ製造業ですので、製造業がかかえる課題を理解した上でSpaceFinderを開発されているであろうという期待感もありました。

運用状況

開発・設計の課題解決に次々と適用し、ノウハウを蓄積

SpaceFinder導入後、まず各部門が現在抱えている問題の解決に活用することになった。課題発生から解決までのフローを電子帳票化し、失敗事例も確実に残る『課題解決シート』、分析の依頼から回答までを電子ワークフローで効率化し進捗を見える化、分析結果も自然に蓄積される『依頼分析票』。過去のノウハウや個人持ちになっているデータを自由に登録し検索閲覧できる『知恵袋』が次々と作成、運用されていった。
大久保 るみ 氏

技術センタ 開発・設計部
技術開発・設計グループ
大久保 るみ 氏

大久保氏品質担当者が品質通達を登録して、各工場に確実に通知する『品質通達連絡帳票』も作成しました。対応状況をフォローするためのチェックシート機能もあり、是正処理や対応処置等の報告書を添付して保管できます。以前は、文書ファイルを電子メールで複数の工場や部門に配信していましたが、今では送りっぱなしにならずにお互いにいつでも参照でき、品質管理部門が対応状況を確実にチェックできるようになりました。

各部門が抱えている目の前の問題解決に取り組みつつ、SpaceFinderの理解を深めてきたDB構築チームは、2008年度後半から、いよいよ設計開発業務の「本筋」に着手。その成果が2009年3月に運用を開始した『開発テーマ管理表』だ。
田中 博之 氏

技術センタ 開発・設計部
技術開発・設計グループ
田中 博之 氏

西山氏技術情報の蓄積と活用を確実に根付かせるために、技術者全員が朝出社したらまずSpaceFinderを起動するというような、仕事の中心にあるシステムにしたいという目標が導入当初からありました。そこで着手したのが、設計開発の成果物管理を実現する『開発テーマ管理表』です。まず開発内容や開発メンバーが、次に業務名と登録すべきドキュメント名、期限、担当者などが表記されています。ドキュメント保管用の子電子帳票を立ち上げるボタンや参考にすべき電子帳票へのリンクも設定されています。

『開発テーマ管理表』からは、既に運用されている課題解決シートや知恵袋へのリンクも設定され、設計開発のポータル画面として整備されている。業務名やドキュメント名はマスターDB化されており、案件内容や開発規模などにあわせて瞬時に切り替えることができる。帳票は雛形をコピーして使え、テーマごとにモディファイしても活用できる。開発現場ではプロセスの見直しや様々なパターンが発生するため、固定的な運用はできない。SpaceFinderでは、開発テーマのスタート時に作成すべきドキュメントの種類や期限の計画を立てて、それに従って格納していくというフレキシブルなスタイルが可能だ。

西山氏『開発テーマ管理表』を運用することで、成果物単位で進捗や状況を把握することができ、成果物の作成漏れも防止できました。さらに、後で見たときにプロセスに沿って成果物データが貼られているので、一目で探しやすくなっています。また、文書登録帳票を使うことで、帳票名やキーワード、作成者、ドキュメント名等により、開発テーマを横串で検索することも可能にしています。

導入効果

情報共有と活用に対する社内の意識が変化。改善効果を把握するための基盤としても効果を期待

開発プロセスを革新する上で、システム構築以上に難しいのは、実は、社内の意識改革や組織の活性化だ。しかし、SpaceFinderが運用開始されてからの約1年間で、データ管理に対する社内の意識は確実に変化。社内の改善事例コンテストでも入賞を果たした。

西山氏開発プロセスで作成された成果物は、改造設計をする人のバックデータになり、生産現場での貴重な情報でもあります。世代間で情報を共有しなければならないとか、DB化を推進しなければならないということは、従来から頭ではわかっていても、多忙な業務に追われてどうしても後回しになっていました。しかし、SpaceFinderでデータ管理の仕組みを開発プロセスの中に埋め込むことができましたし、運用立ち上げの過程で様々な部門の技術者の理解を得ることができました。今では、SpaceFinderを活用することで、手戻りは必ず削減できるという意識の高まりを確かに感じています。

西山氏また、手戻りによる開発のロスを定量的に捕捉するための基盤も構築できました。図面変更の回数を開発テーマや部品毎、担当者毎などで分析が可能ですし、当初計画していなかったジョブ(=手戻りによるジョブ)がどれだけ発生したかを把握することも可能になります。

お客さまプロフィール
オムロン リレーアンドデバイス株式会社社
本社 熊本県山鹿市杉1110番地
資本金 3億円(2009年4月1日現在)
従業員 国内:736名、海外:6,859名(2009年4月1日現在)
事業内容 熊本県から世界に事業展開しているリレーの専業会社。通信インフラやエレクトロニクス機器、代替エネルギー、安全・環境対応など、大きく変化する社会のニーズをグローバル規模で支えている。
オムロン リレーアンドデバイス株式会社社
  • 記載されている製品名、会社名は各社の商標もしくは登録商標です。

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