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品質抜本改革により、企画・設計起因の不具合ゼロ化を目指す

株式会社タニタ

株式会社タニタ

まず苦情処理業務を改善、そして商品開発プロセス革新へ。『品質抜本改革』の多層的な取り組みで、企画・設計起因の不具合ゼロ化を目指すタニタ。その取り組みを、システム基盤構築とコンサルティングの両面で支援。

以下は一部抜粋です。記事全文と運用イメージはこちら!

今まさに、品質抜本改革の取り組みが健康機器メーカーのタニタで進行している。これは、苦情処理の業務効率化とデータ活用、商品開発プロセス革新、新商品情報管理といった多層的かつ相互連携的な取り組み。中でも商品開発プロセス革新は、開発プロセスを再定義し、ゲート管理(DR)の厳格化、ノウハウ共有、トレーサビリティの確保を組み込むという、これまでの業務を根本的に見直す施策である。現在、その具体化に向けて全社横断の『商品開発プロセス革新プロジェクト』が活動中。そのIT基盤としてSpaceFinderが稼動、さらに当社から開発プロセス改善分野のコンサルティングを提供している。現時点での成果と今後について、推進役である執行役員、品質監査部の方々にお伺いした。

導入前の問題点

商品の多岐化・設計の専門性の高まりとともに設計に起因する不具合が増加

矢部 有三 氏

執行役員 全社品質担当
矢部 有三 氏

矢部氏品質の抜本改革に取り組むことになった背景には、3~4年ほどから、設計に起因する不具合が散見されるようになったことがあります。しかも、その原因を調べてみると、単純なミスや確認不足というケースが次第に増えてきたのです。

タニタは近年、従来の計測器メーカーから『健康コンセプトメーカー』に事業を拡大。ラインナップの多岐化により、商品開発における技術要素の複合化と、専門性の高まりが進んだ。
長谷川 博樹 氏

品質監査部
長谷川 博樹 氏

長谷川氏睡眠や尿糖、活動量、アルコール、温度、塩分など、計る対象分野が多岐にわたるようになり、商品開発において高度な専門知識が要求されるようになったのです。

竹内 芳和 氏

品質監査部 部長
兼 国際薬事課 課長
竹内 芳和 氏

竹内氏新機種開発は、家庭用であればメカ担当、回路担当、ソフト担当の3名で行います。特に新分野の商品開発では、最初に専門性を勉強した設計者が開発や検査手法でイニシアティブをとりがちなこともあり、ノウハウの共有化やチェック体制作りが簡単ではありませんでした。

選定理由

SpaceFinderは、品質抜本改革を支援する『仕組み』として最適

システム導入にあたって、ワークフローシステムや文書管理システム等を調査・検討。2010年9月にSpaceFinderが導入された。

長谷川氏品質の抜本改革を支えるのに、単にデータベース化して文書を管理するだけでは不十分。もっと仕組みとして構築したいという狙いに合致したのがSpaceFinderでした。これまでバラバラに管理されていた進捗や技術情報、ノウハウを統合的に見える化できる点も評価しました。

矢部氏つまり、設計開発プロセスの改善に使えるシステムとしてはSpaceFinderが最適だったということです。電子帳票等も自分たちで変更できます。また、ダイキン工業が自社で使っているという安心感もありました。

運用状況

まず苦情処理タスクに適用。業務効率化、CS改善、設計への反映など、多面的な活用が進む

SpaceFinderの導入後、品質監査部は、苦情処理タスクの改善に着手。文書データ、正式版の紙書類、進捗共有化のためのPDFファイルが散在していた情報と運用の一元化を『顧客満足改善処理票』で実現。2011年4月に運用を開始し、ペーパーレス化、進捗問い合わせのゼロ化、多重業務の解消など、様々な成果をあげている。

長谷川氏SpaceFinderの運用開始以降、進捗の問い合わせはほぼ無くなりました。受付時と完了時に、起票者と品質関係者に自動でメール通知されますし、途中経過は一覧画面で確認できます。

顧客からの進捗問い合わせに速やかに対応することで顧客満足度が向上。ステータス表示により、今どこまで進んでいるかは一目瞭然で、決裁者が不在の場合は、担当者変更の仕組みでフローを進めることも可能。タイムスタンプ機能により、どこで時間がかかったのかもわかる。進捗の追い方も随分変わったと長谷川氏は語る。

竹内氏以前は手作業で進捗管理表を作っていましたが、いまは起票と同時にシステムに登録され、ステータスも自動更新されるので、管理業務が本当に楽になりました。

長谷川氏また、情報管理の一元化により、半期毎の振り返りもやりやすくなりました。明らかにまとめ方の差がでていますし、工数削減にもつながっています。

竹内氏設計者も過去の苦情情報を参照するのに活用しています。以前は機種や整理番号、部署名でソートするぐらいでしたが、『顧客満足改善処理票』では処理分類や区分を新規に設けるなど、検索性がかなり向上しました。

以前は設計起因の場合にしか苦情処理が提出されなかったが、『顧客満足改善処理票』では、簡易な内容や顧客の使い方に起因する苦情、既に報告されている同内容の苦情もすべて起票するように運用を変更。報告件数が従来の約2倍に増加し、「顧客の声」が貴重な情報資産として蓄積されることになった。

竹内氏この運用を始めてから、設計起因以外の苦情が思った以上に出ていることが把握できました。その内容を仕分け集計し、新商品の開発に反映していく予定です。また、取説の改善など、顧客満足度の向上にも生かしていきたいと考えています。

長谷川氏同一ロットで同じ問題を抱えている場合、対策を打っても対策前に流通している分からは苦情があがってきますが、それらを新規の苦情と分類整理して対応する上でも有効です。

さらなる取り組み

ダイキンのコンサルティングとともに、商品開発プロセスの再構築に挑む

『顧客満足改善処理票』を立ち上げた品質監査部は、いよいよ『品質抜本改革』の本丸、商品開発プロセスの再構築に取り組むことに。そのコンサルティングが当社に依頼された。

矢部氏もともとやりたかったのは商品開発プロセスの革新。秤屋が『健康コンセプトメーカー』に成長したにもかかわらず、プロセスは昔のままでは、改善はおぼつきません。『顧客満足改善処理票』は基本的に従来の運用をシステム化したものですが、商品開発プロセスの再構築では、自社の経験だけでなく違う視点を加えて検討を行う必要があると考えていました。そこで、開発プロセス改善システムの構築実績が豊富で、製造業としてのノウハウも持っているダイキン工業にコンサルティングを依頼することにしたのです。ダイキン工業自身の商品開発における取り組みを参考にできるという期待もありました。

2011年6月、コンサルティングを開始。現状の開発プロセスを分析した結果、「業務プロセス・ルールが曖昧」「デザインレビューが属人的」「品質マネジメントが不十分」など、様々な問題点が抽出された。その結果を踏まえて、新たな『商品開発プロセスとルール』が策定された。

長谷川氏これまでも、ISOに沿って承認会議や個別のデザインレビュー等を実施し、そこで必要な資料等を定めていました。しかし、コンサルティングを受けてみると、開発プロセスが曖昧で人に依存する部分があったり、事業部によって違っていたり、徹底されていなかったりという事が見えてきました。改革案では、開発プロセスを6つのフェーズに区切り、各フェーズで行うタスクと成果物を詳細に明確化。さらに、フェーズを移行する際のチェックを厳格化する予定です。細かな改善点は多々ありますが、ここが最も大きな変更点です。

2012年1月、それまでの活動成果をまとめた改革・改善の方向性が社内決済され、『商品開発プロセス改革プロジェクト』が発足した。このプロジェクトには、品質監査部と各事業部の企画・技術、デザイン部門。情報システム部門、秋田工場の品質・技術が参画している。

長谷川氏現在、業務改革の具体化とシステム構築に向けて複数のワーキンググループが作業を行っています。今テーマとして上がっているのは設計や企画品質の向上による不具合のゼロ化。失敗コストの削減も次のテーマになってくると思います。

お客さまプロフィール
株式会社タニタ
本社 東京都板橋区前野町1-14-2
資本金 5,100万円
従業員 1,200人(グループ)
事業内容 「はかる」を通して世界の人々の健康づくりに貢献。1992年に世界で初めて体内脂肪計を発売。その後も2001年に内臓脂肪チェック付き体脂肪計、そして2004年には部位別体組成計と、世界初の製品をリリース。体組成計で国内トップシェア。さらに、活動量計、睡眠計、尿糖計、アルコールセンサー、料理温度計、業務用・プロフェッショナル用の各種機器など、幅広い分野で先進の製品を提供するとともに、Webを使った総合健康管理サービスも開始している。
株式会社タニタ
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