ページの本文へ

製造業向けIT
  1. 製造業向けIT
  2. 導入事例
  3. 某有名電機メーカー

設計・品質・試験情報を連携し、品質設計力を向上、開発を効率化

某有名電機メーカー

某有名電機メーカー

DR資料や議事録をはじめとする設計情報・品質情報・試験情報を”情報ネットワーク化”。品質設計力の向上と開発の効率化で、発売遅延による利益喪失の防止、不具合・手戻りによるロスコストの削減を図る。

以下は一部抜粋です。記事全文と運用イメージはこちら!

某有名電機メーカーでは、新製品の発売遅延による利益喪失や品質費/仕掛かり品費が経営課題になっていた。開発ボリュームの増大により技術者が開発に追われ、ノウハウや情報の共有化が疎かに。その結果、不具合・手戻りや業務の非効率が頻発し、開発現場をさらに圧迫するという悪循環に陥っていた。問題解決のためには、業務効率を向上しながら情報の蓄積と活用を加速する仕組みが必要。その情報基盤として導入されたのがSpaceFinderである。

導入前の問題点

情報共有化不足に起因する業務の非効率や不具合・手戻りが製品開発のあらゆる場面で発生

関根 加津典 氏

家電製品技術部
家電計画グループ
海外製品開発グループ
リーダー
関根 加津典 氏

関根氏当社では、技術者が設計・開発以外の業務も多く抱え、さらにカスタマイズ案件の増加により、開発に追われる状況が続いていました。また、紙ベースでの情報管理のため、過去の類似案件や評価データ等の検索に非常に手間取ったり、設計変更理由が記録として残らず、担当者が変わると同じ失敗をしてしまうなど、開発のあらゆる場面で業務の非効率や不具合・手戻りが発生していました。

設計変更書類が埋もれて原価低減の実施が遅れたことも。また、技術者が個人商店化し、板金設計やガラスの印刷等の得意な人を探すのに時間がかかったり、設計上の注意点を記憶頼りで答えるため100%網羅した回答は難しく、開発が進んでから手戻りが発生することもあった。

関根氏後工程になればなるほど試作台数が増えていくので、ちょっとしたミスが大きなロスにつながります。極力早い段階で問題を潰していきたいのですが、実際は開発工程のあらゆる場面でミスが起きていました。後工程になればなるほど試作台数が増えていくので、ちょっとしたミスが大きなロスにつながります。極力早い段階で問題を潰していきたいのですが、実際は開発工程のあらゆる場面でミスが起きていました。

ロスコストは「結構かかっていた」と語る関根氏。工程内不具合・手戻りのほとんどが再発。その多くは情報やノウハウの共有不足に起因。
高橋 裕司 氏

製造管理部 技術管理課 課長
高橋 裕司 氏

高橋氏近年、1つの代表型番に対して、販売店様のご要望を反映した派生機種が大幅に増加しています。それを少数の開発人員で分担するので、1人当たりの開発ボリュームは物凄い状況になっています。そのため、技術者は開発に追われて、情報の蓄積や共有が行き届きません。共通の情報基盤を構築し、過去の案件情報や不具合事例等を誰でも活用できるようになれば、もっと状況は違ってくると考えました。

このような状況のもと、2010年夏にシステムの検討が開始された。

システム選定

自分達で設計・変更できなければ、自分達が使いやすいシステムは実現しない

関根氏は、ツール選定にあたり幅広く情報を収集。それらを4つに分類し比較検討を行った。

関根氏DBソフトは大容量データの管理には不向き。コンサルティングへの依頼はコストが膨大で、ちょっとした変更にも費用がかかる。ファイル管理ツールや工程管理ツールは決められたフォーマットに業務をあわせる必要があるので導入は難しいと判断しました。

なるべく技術者に抵抗感を与えることなく導入するために、従来の紙のフォーマットをそのまま電子化してスタートしたかったと語る関根氏。

関根氏その点、SpaceFinderは操作がしやすく、インタフェースが優れているので、システムの知識がなくても電子帳票やワークフローを自分達で作成できます。これまでの経験で、情報システム部門と何百時間話したとしても、自分達が使いやすいシステムは作れないだろうと感じていました。システム変更の容易性は使いやすさに直結しますので、そこは自分達の手の内に持っておきたいと考えました。

システムコンセプト

設計情報・品質情報・試験情報をシステム化。さらに、相互連携で効果拡大を図る

検討の結果、2011年3月にSpaceFinderを導入。現在の問題点を議論し活用方法が検討された。

関根氏システム設計でこだわったのは、技術者自身がうれしいことだけを取り入れるということです。そのため、設計部門や技術管理部部門から代表者を選出して、自分たちが便利だと感じる事、今苦労して時間がかかっている事はなんだろうと喧々諤々議論し、また、幅広い技術者にもヒアリングを行いました。

それらを分類・整理すると、設計業務、品質情報、試験情報に集約され、それぞれをシステム化することで方針が固まった。さらに、3つのシステムを相互リンクすることで、”情報ネットワーク”の強化も図ることに。

”情報ネットワーク化”で、さらなる品質設計力向上・開発効率化へ

関根氏設計情報、品質情報、試験情報を個別にシステム化した上で、SpaceFinderの帳票連携機能を使って”情報ネットワーク化”する計画です。これにより、例えば、過去の類似機種を検索すると、設計資料はもちろん、品質情報や試験データも参照できるようになります。また、現在開発中の機種の試験データを設計者がすぐに参照できる、市場クレーム情報と、その原因究明の試験データも関連して参照できるといった、設計品質の向上や開発効率化に活用できます。特に部門間を越えた情報のネットワーク強化は効果が大きいと思います。

今回のシステム構築においては、開発業務改善が大きな経営課題であった。

関根氏製品発売スケジュールの遵守による利益喪失の防止、品質費/仕掛かり費の削減が非常に大きな経営課題でした。開発終盤での不具合によりロスコストの増大や発売スケジュールの変更が起きていましたので。今回の取組みで、この課題に着実に対応し、さらに、効率改善した分を技術文書の作成や蓄積に充当し、仕事の質を向上していきたいと考えています。

まず『開発会議通知』システムを運用開始

DR単位で成果物と議事録をセットで共有化。過去データ活用で設計品質向上・開発効率化

まず設計業務領域に着手。その成果が、2011年10月から運用開始された『開発会議通知』システムだ。三菱電機ホーム機器では、開発過程で約20(フルモデルチェンジの場合)にのぼる公式の会議が開催される。その会議単位で成果物や議事録を管理することで、開発進捗を見える化でき、成果物の活用も促進される。現在、社長以下約100名で活用。今年度中に400名規模(社内全製品)まで適用を拡大する予定だ。

関根氏『開発会議通知』システムでは、会議に提出された成果物と議事録をセットで管理しており、必要に応じて即座に参照できます。例えば、過去の類似機種の情報を参照する際に、どの会議でどのような指摘があったのかを、その時点の成果物と紐付けて参照することができます。これにより、指摘事項の背景を踏まえた上で、それがどのように成果物に反映されていったかを理解し、今の開発に反映することができます。

さらに、過去に同種の会議でどのような指摘事項があったのかを把握した上で、会議での審議を行うことができる。

関根氏また、会議の進捗=開発の進捗になりますので、どの会議まで議事録が発行されたかを参照することで、開発案件全体の進捗状況をリアルタイムで把握することができます。

過去データ一発検索で開発スピードアップ

関根氏資料名の横にある「同種文書検索」ボタンをクリックすると、同じ資料名の過去分が一発検索されます。これまで、過去データの検索に大変手間取っていましたので、開発のスピードアップにつながることと期待しています。

技術者の負担軽減・会議時間短縮

「開催通知」ボタンを押すと、関係者に開催案内を自動的にメール配信。担当者が会議の2日前までに資料を登録。会議に必要な資料が揃った時点で「資料配布」ボタンを押すと、関係者全員に通知される。会議では、SpaceFinderの画面や資料データをプロジェクタで投影することで、ペーパーレス化を実現している。

関根氏『開発会議通知』システムを運用開始してから、手作業による開催案内メール配信の手間がなくなりました。また、大きな会議では数十人の出席者に数十枚の資料を用意するので、資料のコピー作業が大変だったのですが、それも不要になりました。資料は事前にデータで配布しているので、会議では資料説明を省略し、いきなり審議に入っています。これにより、会議時間の短縮にも効果をあげています。

品質情報管理・試験情報管理へ適用拡大

まず品質情報管理、そして、試験情報管理へ、”情報ネットワーク”の拡張を図る

続いて着手されたのが、品質情報管理。クレームの受付から調査、改善、効果確認まで、部門をまたがる一連の業務を電子帳票/ワークフローでシステム化する『製品不良調査依頼』システムの運用がまもなく開始される。

関根氏市場クレーム情報は品質管理部門が管理しているため、どの機種で、どのようなタイミングで、どのようなクレームが起こっているのか、その原因と対策、ロット性の有無等を設計者がスムーズに調べることができませんでした。『製品不良調査依頼』システムでクレーム情報を共有化するとともに、例えば機種横串での比較など、分析機能も強化したいと考えています。

高橋氏試験については、パターンを変えて何百と実施しますので、最終的にどのデータになったのか分からなくなったり、以前行った類似試験のデータを探すための時間的なロスが結構あります。そして、結局見つからない場合は、本来なら省略できた試験を繰り返すことになります。

お問い合わせ

メールマガジン登録

「ダイキン 製造業向けITソリューションNEWS」
イベント情報やものづくりブログなどお客様に役立つ情報をお届けします。

ページの先頭へ