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部品点数が数十万に達する大規模で複雑なものづくりの不具合管理効率化と対策徹底

株式会社日立製作所

鉄道ビジネスユニット 笠戸事業所

株式会社日立製作所 鉄道ビジネスユニット 笠戸事業所

人命を預かる社会インフラとして、高い品質・信頼性・安全性が求められる鉄道車両。部品点数が数十万に達する大規模で複雑なものづくりにおける不具合管理の効率化と対策の徹底をSpaceFinderが支援。

以下は一部抜粋です。記事全文と運用イメージはこちら!

日立製作所は日本を代表する世界有数の総合電機メーカーで、鉄道車両においても国内最大手。その中核拠点である笠戸事業所では、SpaceFinderを導入し、老朽化した既存システムを刷新すると共に、更なる業務のデジタル化を推進している。その端緒となったのが工程内不具合管理。案件数が増加していくなかで、納期短縮化、業務効率化、進捗管理の強化が必要であったが、繰り返し拡張し、複雑な仕様となっていた既存システムがネックとなっていた。

背景

システム改修に時間とコストがかかる。費用対効果がネックとなり、現場の要望を反映できない

松井 克哉 氏

鉄道ビジネスユニット 笠戸IT推進部
松井 克哉 氏

松井氏SpaceFinder導入に至った業務課題は主に次の3つです。1つ目が、スクラッチ開発したシステムが老朽化し、且つ、拡張を繰り返したために複雑になっており、改修に時間とコストがかかっていたことです。2つ目が、笠戸事業所内のシステムが組織や業務毎にバラバラに構築されていたため、管理面で非効率になっていたということです。その結果として、自分のタスクやプロジェクトの進捗が、いろいろなシステムを見て回らなければわからない状況になっていました。3つ目が、紙で運用している業務が残っており、傾向把握や分析が効率的に行えない、上流工程にフィードバックできていないということです。


安西 晋 氏

鉄道ビジネスユニット
車両システム品質保証部
安西 晋 氏

安西氏品証部門としては、工程内不具合を管理する『検査票』システムの改修に非常に手間と時間がかかっていたので、そこを何とかして欲しいという想いがありました。業務観点、操作性・利便性向上のための改修要望であっても、工数、期間が嵩み、場合によっては費用対効果が見込めないということで対応が見送られることもありました。そこで、改修が簡単に行えるツールが無いものかと調査を行い、SpaceFinderにたどり着いたのです。

運用状況

不具合対策の進捗フォロー強化と業務効率化、要因分析の強化による作業不良削減

松井氏SpaceFinderはノンプログラミングツールで、時間とコストをかけずにシステム構築や改修が行える点を評価し、2018年12月に導入しました。2019年4月に『設計改善提案・図面訂正依頼』と『会議開催通知・議事録』を、2020年4月に『検査票』、『指摘票』の運用を開始しました。システム構築は笠戸IT推進部が行っていますが、ゆくゆくは業務部門でも構築できるようにしていきたいと思っています。

笠戸事業所では、技術、製造、品証、調達部門を中心に約1,200人がSpaceFinderを利用。「他事業所への展開も考えています」と松井氏は語る。

松井氏現在、作業不良対応等で発生した工数を他部門に振り替える『軟票作業』システムの構築を進めています。他にも紙の業務が残っているので、進捗動態を見る必要があったり、データ活用効果が見込まれる業務を中心にSpaceFinder化を図ってまいります。在宅勤務の導入が加速していく中で、テレワークでも業務が継続できる環境が求められています。SpaceFinderはかゆいところに手が届くシステムですので、これからも活用の幅を広げていきたいと思っています。

不具合管理

ここからは、不具合管理での活用状況をご紹介していく。鉄道車両には、人命を預かる社会インフラとして、高い品質や信頼性、安全性が求められる。また、部品点数が数十万点に達し、幅広い技術が複合する大型で複雑な製造物であり、その製造工程では清掃レベルのものも含め、様々な不具合が指摘される。新たに構築されたシステムが、それらの厳格な管理と徹底した対策遂行を支援している。

安西氏笠戸事業所では、調達部品の受入検査や各種製造過程、品証検査等で発見された不具合を管理する『検査票』と、製品審査会や顧客立会等での指摘事項を管理する『指摘票』を使って不具合管理を行っています。『指摘票』には社内での手直しで済むような程度の軽い不適合(汚れや擦り傷等)が多く登録されますが、『検査票』は部品の再手配やメーカーへの修理要請を伴う不具合が主体になります。従来は、『検査票』システムの中に、指摘票を添付する形で混在していたのですが、処置対策フローが異なることから、両者を分けてシステム化しました。

情報連携
河野 勉 氏

鉄道ビジネスユニット
笠戸IT推進部
河野 勉 氏

『指摘票』には、多い場合で数十件の指摘が登録され、処置対策の割り振りや完了確認フロー等が『検査票』とは大きく異なる。両者を分離したことで、最適なシステムが実現でき、業務がスムーズに流れるようになった。ただし、『指摘票』に登録される不具合には、部品の再手配やメーカーへの修理手配が必要なものもある。そのような場合でも、『指摘票』と『検査票』が連携することで、一貫した対応が可能になっている。

松井氏『指摘票』に指摘が登録されると、指摘毎に『個別処置対策票』が自動生成。内容を精査した結果、部品再手配やメーカーへの修理要請が必要な場合は、『個別処置対策票』から『検査票』を起票できるようになっています。同様に、図面訂正が必要な場合は『設計改善提案・図面訂正依頼シート』を起票。起票の際に指摘票No.が埋め込まれるので、『指摘票』を起点として体系的に管理が可能。『指摘票』の最終判定を行う際に、派生した『検査票』や『設計改善提案・図面訂正依頼シート』を一覧表示して、すべて完了しているかどうかを簡単に確認することができます。また、『検査票』や『設計改善提案・図面訂正依頼シート』を起票する際に、他のメンバーが同内容で既に起票していないかどうかも簡単に確認できます。

『個別処置対策票』で対策実施内容が確認されると、確認者や日付が『指摘票』に自動的に反映される。全指摘事項の処置対策状況がリアルタイムに集約されるので、『指摘票』の最終承認を素早く的確に行うことができる。
進捗の可視化・残件管理の強化
鉄道車両の製造期間は数ヵ月~数年。その間に、検査票、指摘票がそれぞれ数百件程度発行される。(清掃レベルの案件含め)。それらの処置対策がすべて完了して出荷OKとなる。

安西氏出荷段階で未処理の不具合を残さないことが最重要なので、品証は様々な部門を徹底的にフォローアップしながらクローズを図っていきます。処置対策はかなりの量になりますが、最新の状況がいつでも確認できるので、フォローアップの強化に役立っています。

松井氏『検査票』や『指摘票』のメニュー画面には豊富な検索メニューを設けています。例えば『指摘票』では、指摘票単位での検索に加え、個別指摘単位での検索も可能で、『組』(担当部署)や処置期限を指定して、未処理や処置完了、確認完了等のステータスで検索することができます。

車両や編成毎に『検査票』や『指摘票』、『個別処置対策票』、『設計改善提案・図面訂正依頼シート』が何件発行され、何件完了しているか、期限超過がないか等がリアルタイムに把握できる。遅延はわかりやすく色分け表示。マイタスクだけを表示することも可能だ。期限の事前および当日にアラートメールが自動送信される。
帳票作成時間の削減
不具合を発見すると、現場作業を中断して『検査票』を作成する。従来システムでは1件の作成に十分程度かかり、件数が多い故にそのロスタイムが現場の負担になっていた。

松井氏『検査票』システムを刷新する目的の一つに、帳票作成時間をいかに短縮するかということがありました。以前のシステムが複雑化していたので、それを見直してすっきりした体系にすると共に、不具合現象等の分類を整備し、文章入力を極力なくして選択リスト化することで入力の手間と時間を削減しています。『検査票』を1件発行するのに、以前は十分程度かかっていましたが、今は数分までに短縮できています。

モバイル活用

安西氏モバイル端末での操作を可能にすることで、不具合を発見したその場所で検査票を作成できるようにもなりました。今までは、製造現場で発見した不具合事象を執務室のPCに入力する手間がありましたが、そのような無駄から解放されるようになります。また、不具合部位を認識しやすく指やペンを当てて写真を撮りそのまま掲載することも簡単にできるようになります。

原因分析による作業不良削減

安西氏品質目標として作業不良削減がテーマに挙がっており、ヒューマンエラーに着目して分析できるようにしたいと考えていました。そこで、『検査票』に、何故作業不良が起こったのか、管理・環境面で問題が無かったかのチェック欄を設置しました。ルール不遵守や確認・情報共有、技能・技術力不足、知識不足、動作・作業、指導・指示等を担当者に回答してもらいます。品証や製造の生産技術は回答内容を確認し、ルールが無かった場合はどのようなルールを作れば良いか、ルールを守らなかった場合はどうやって守らせるのか、ルールを知らなかった場合は教育のやり方を見直すなど、どのような視点で改善していけば良いのかを考える拠所になっています。また、技能・技術力面で「難しかった」にチェックが付いている場合は、どういうところが難しいのかをヒアリングし、対策を検討して設計へのフィードバックを行っています。

松井氏『検査票』や『指摘票』のメニュー画面には豊富な検索メニューを設けています。例えば『指摘票』では、指摘票単位での検索に加え、個別指摘単位での検索も可能で、『組』(担当部署)や処置期限を指定して、未処理や処置完了、確認完了等のステータスで検索することができます。

設計変更・図面訂正

松井氏『設計改善提案・図面訂正依頼シート』は、主に製造部門が起票します。改善内容や変更理由、効果試算を記入し、写真や参考資料を添付。発行承認が下りると設計部門にタスクが渡り、この提案の可否を判断します。改善を受け付ける場合は、図面を訂正し、承認フローを回します。以前はWordやExcelをメールに添付していたので、今回、システム化しました。

お客さまプロフィール
株式会社日立製作所
本社 東京都千代田区丸の内一丁目6番6号
資本金 458,790百万円(2020年3月末現在)
従業員 31,442名(2020年3月末日現在)
事業内容 日本を代表する世界有数の総合電機メーカー。鉄道分野では、車両、駆動用制御装置をはじめ列車運行管理システムや電力管理システム、情報サービスなどのフルラインナップのサービスを提供できる総合鉄道システムインテグレーターとして、重要な社会インフラである鉄道を支えている。また、グローバルカンパニーとして、日本だけでなく欧州・アジアをはじめとした海外での鉄道事業にも積極的に携わっている。
株式会社日立製作所
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