住友重機械搬送システム株式会社
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住友重機械搬送システムは、大型クレーン等の『搬送システム』、物流倉庫での搬送や仕分、ピッキング等を自動化する『物流システム』、商業施設やビル等の『パーキングシステム』を、企画から設計、製造、保守サービスまで一貫して提供している。同社はNotesで業務アプリケーションを構築してきたが、事業の拡大に伴い、拠点間での高密度な情報共有が必要になっていた。さらに、クラウド環境への移行やランニングコスト削減等の課題も解消すべく、Notesのリプレースを決定。しかし、長年作り込んできただけに、Notes脱却は難題。その対策としてSmart Innovatorが導入され、移行コスト抑制と短期開発、メンテナンス効率化に貢献している。
伊藤氏2014年に住友重機械グループで情報共有基盤再構築の取り組みが始まり、その一環として、Notesのリプレースが決まりました。基本的にはSharePointに移行することになっていましたが、愛媛地区の住友重機械搬送システムと住友重機械工業 産業機器事業部ではNotesでかなり作り込んだアプリケーションがあり、それらをSharePointに移行することは難しかったですし、仮に移行できたとしても、その後のメンテナンスを考えると現実的ではないと判断しました。
伊藤氏我々のNotes業務アプリケーションは複雑・高度に作り込んだものが多かったため、移行する場合の外注費用を考えても、SharePointは対象外と判断しました。そこで、住友重機械工業の様々な部門に導入されていたSpaceFinderと、その姉妹製品であるSmart Innovatorを検討することになりました。Notes業務アプリケーションに実装していた機能を洗い出し、SpaceFinderとSmart Innovatorで実現が可能か技術検証を行ったところ、Smart Innovatorがかなりの項目をクリアすることがわかりました。ワークフローツールも調べましたが、作り込みが難しいため見送りました。
曽我部氏住友重機械搬送システムでは、決まりきったワークフローで業務を進めてはいないので、柔軟に対応できるステータス管理の仕組みを自作して対応していました。ですので、Notesをリプレースする場合でも、自分たちで柔軟にカスタマイズできるツールが求められたのですが、Smart Innovatorは、こういった要望も満たしてくれました。
伊藤氏Smart InnovatorはSharePointよりも開発工数を押さえられ、低コストでアプリケーションを構築できることも選定理由です。
永易氏Smart Innovator導入後、約半年間をかけてNotesの棚卸を実施。約180個あった業務アプリケーションの中から、廃止するもの、SharePointに移行するものを除いた40個をSmart Innovatorでリプレースすることになりました。2020年4月にICT本部に作成依頼を出し、6月に構築を開始。翌年2月までに順次リリースしました。Notes廃止期限が決まっていてタイトなスケジュールでしたが、スムーズに移行できたと思います。過去データも移行済みです。従来のNotes業務アプリケーションに操作方法を揃えたので、ユーザーへの説明も特に不要でした。
伊藤氏業務アプリケーション開発は、平均的なものでおよそ1週間。テスト・改修を含めてトータル2週間ぐらいで完成するイメージです。ユーザー部門がテストしている間に次を作り始め、一番多い時は12個を1ヵ月で移行しました。当初1名、途中から2名体制で、ボタンを配置して、コマンド配置してというレベルでスムーズに作業できました。
永易氏Smart Innovatorでの開発コストは、SharePointで想定した額の10分の1ぐらいで、リリースまでの期間も短縮できました。
伊藤氏やはり、社内で開発できたのが大きかったと思います。外注する場合は、仕様書を作成して、計画書を作成して、というように工程が発生し、費用も膨らんでしまいます。
永易氏ユーザー部門としては、Notesと比べてランニングコストが半減したのも大きいです。また、メンテナンスがすぐできるという点もうれしいです。ビジネスIT推進グループに相談して、見積ってもらい、2週間以内には反映してもらえます。
伊藤氏改修要望はNotesの時代から多くて、今も相変わらず多いです。毎週のようにあります。Smart Innovatorがユーザーの要望に素早く対応できている要因の一つに、製造業固有のアプリケーションを開発するための部品が豊富に揃っている事があります。Notesにはそのような部品が無く自作していましたので。
伊藤氏住友重機械グループでは、基幹システム(生産管理、人事・会計等)以外の各種業務システムに使用するツールは審査を経て承認されます。Smart InnovatorはNotes移行用に導入されたのですが、その実績が認められ、住友重機械グループにおける標準ツールに格上げされました。ですので、Smart Innovatorは、どの部門でも、どこの地区でも、どこの関係会社でも使ってください、という位置付けにな っています。
伊藤氏ICT本部内にDX推進を担当する部門があり、ユーザー部門からシステム開発に関する相談を受けて、対応方法や使用するツールを提案しています。Smart Innovatorが標準ツールになったことで、DX推進部門経由での問い合わせがかなり来るようになっています。
曽我部氏Smart Innovatorは、基幹システムや、Webベースでスクラッチ開発されたアプリケーション(以下、Webアプリケーション)で使用しているOracleデータベースを直接参照することができます。例えば、Smart Innovatorのアプリケーションで製番を選択すると、生産管理システムで管理している製番情報を直接参照し、顧客名や商品名等が自動的にセットされるようになっています。以前はデータをNotes内に一旦取り込んでから参照していたためにタイムラグが生じていましたが、今はタイムラグがなくなりましたし、ワーク用のファイルも不要になっています。
伊藤氏例えば、輸出審査が通ると、すぐに後続の受注業務を行いたいのですが、Notesではすぐに連携できないため、一日待たなければならないことがありました。今は、Smart Innovatorと営業システムがデータ連携しているので、遅滞なく業務を進められるようになっています。
永易氏トラブル履歴を管理しているWebアプリケーションにSmart Innovatorからデータを送る仕組みも構築しています。Notesでも同様の仕組みだったのですが、これを構築できることも、Smart Innovatorを選定した理由の一つです。
永易氏納品やトラブル対応の際にSV(スーパーバイザー)を派遣することがあるのですが、関連する業務アプリケーションから、情報を引き継いでSV派遣申請が行えるようになっています。Notesでは情報がバラバラだったのですが、今回、製番をキーにして様々な情報を紐づけることができたのも、Smart Innovatorにして良かった点です。
伊藤氏愛媛地区ではNotes脱却という難しい課題を解決できましたが、住友重機械工業の中には、まだ脱却できていない拠点が残っています。また、新しいシステムを作る場合に、どうすれば良いか悩んでいる場合がかなりあります。ですので、愛媛地区の事例をもとに、他拠点にも展開していきたいと思っています。
永易氏住友重機械搬送システム内でも、要望はいろいろ出てきています。設計からは、Webアプリケーションで行っているDRの進捗管理をSmart Innovatorで一本化したいという要望が出ています。Webアプリケーションは他にも沢山あり、いずれ老朽化更新の時期がきます。それらの中から、可能なものはSmart Innovatorに統合していくことで、メンテナンス性を向上したり、コスト削減したり、データの連携性を高めたいと思っています。
永易氏スクラッチシステムは改修が難しいので、新規開発する場合は、まずSmart Innovatorでプロトタイプを作成し、仕様を固めた上で、スクラッチ開発(Webアプリケーシ ョン)するか、そのままSmart Innovatorを使い続けるかを判断するような、新しい使い方も始まっています。
伊藤氏愛媛地区での今後については、データ活用や、可視化・グラフ化というテーマを考えています。
永易氏Smart Innovatorを起動すると、業務アプリケーションのアイコンが並んでいる『ランチャー』が開きます。アイコンは部門毎にタブ分けして整理しています。これがスタート画面ですが、通知メールに貼られているリンクをクリックすることで、直接アプリケーションを開くこともできます。ランチャーでは、ログインしたユーザーが利用できるアプリケーションだけが表示されます。Notesのようにユーザー1人づつ設定する必要がなく、管理が容易なのも、Smart Innovatorにして良かった点です。
曽我部氏Notesでは別々のアプリケーションになっていた製番情報、製造情報、調達情報を、製番をキーにして統合することで、製番に関わる様々な情報を一元管理できるようになりました。アプリケーションは、一覧画面と詳細画面で構成しています。一覧画面は、顧客別、部門別、起票者別、製番別というように表示を切り替えることができます。Notesではデータが一定の容量に達するとアーカイブして、「○○年度分はこちら」というように、入り口を分けなければならなかったのですが、Smart Innovatorでは、そのようなことは不要です。
永易氏『製番・生産・調達情報』には、キックオフ資料をはじめ、工程表やスケジュール、試験結果など、設計・製造工程でやり取りされる情報やアフターサポート情報など、様々な情報が、業務の流れに沿って蓄積します。例えば、「今日、○○の調達情報が出た」、「制御盤の納期が遅れる」、「現地試運転の変更依頼があった」等の最新情報をチェックしたり、逆に数年前に遡って顧客に提出した文書内容を確認したり、というように、日常的に活用しています。顧客と交わしたメールも登録しているので、当時のやり取りを確認することもできます。
永易氏見積を依頼する場合、まず営業システム(Webアプリケーション)に見積依頼情報を登録します。その情報がSmart Innovatorに渡り、営業システムでは登録しない、部門特有の細かな情報を追加し、管理部門が内容を確認して関係部門に見積作成を依頼します。何度かのやり取りを経て、最終的に管理部門が取りまとめて依頼者(営業)に回答。営業もSmart Innovator上で見積内容を確認します。
本社 | 東京都港区西新橋2丁目8番6号(住友不動産日比谷ビル) |
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新居浜事業所 | 愛媛県新居浜市惣開町5番2号 |
資本金 | 480,000,000円(住友重機械工業100%出資) |
従業員数 | 880名 |
事業内容 | 住友重機械グループの一員として、主に運搬荷役設備および搬送システムの企画開発から、総合エンジニアリング・製造・輸送・据付、アフターサービス全般と、物流システムのアフターサービス全般を行っている。 |
取材日:2022年7月8日
受付時間 9:00-17:30(土・日・祝除く)
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