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製造業向けIT

素材から加工にいたる広範な製品群をカバーする開発支援システム

DIC株式会社

DIC株式会社

素材から加工にいたる広範な製品群をカバーする、全社標準の開発支援システムを構築。DICの強みである総合力・専門力を機動的に発揮すると共に、開発プロセスの見える化によるプロセス品質の向上を図る。

以下は一部抜粋です。記事全文と運用イメージはこちら!

素材から加工にいたる広範な製品群を提供しているDIC株式会社は、同社の強みである総合力と専門力を機動的に発揮すべく、2012年に組織改編を実施。製品分野毎に設置されていた技術本部が全社で一体化され、その情報基盤についても全社標準化が進められている。全社標準システムで見える化することにより、製品分野間での連携強化と開発プロセスの品質向上を推進している。

導入の背景

組織改編で技術部門が一体化したが、情報管理や業務運営の個別ツールが残存

西脇 徹 氏

技術企画部 マネジャー
西脇 徹 氏

西脇氏当社は、インキ、顔料、ポリマ、コンパウンド等の7つの製品分野で事業を行っています。例えば、ポリマはインキや塗工材等にも使用されるのですが、以前の事業部制では人材や情報の流動性が高いとは言えませんでした。そのような中、2012年に事業部制を撤廃し、製品本部を縦軸、技術・生産部門は横軸としたマトリックス型へと組織改編がありました。今は技術統括本部の下に9つの技術本部が設置され、それぞれ全製品本部の研究開発を担い、技術本部間の人事ローテーション、共同研究、プロジェクト編成など、一体感をもった体制となりました。

その一方、業務手順や書式、情報管理の仕組みは、旧事業部の方式が少なからず残っていた。
田中 豊洋 氏

情報システム部
サービス&ディベロップメントグループ 主任
田中 豊洋 氏

田中氏基幹システムは全社標準・グローバル化が進む一方で、技術部門では旧事業部時代に最適化されたシステム群の運用が続いていました。しかし、それぞれハードの保守期限や新OSへの対応期限が迫る中、技術統括本部と情報システム部では、必然的に、全社標準システムの検討を始めることになりました。

西脇氏昨今、ブランドや品質への注目度が高まっています。DICブランドで製品を出す以上、全社的で統一的な仕組みのもとで品質を担保すべきという意識もありました。

このような背景から、技術統括本部の重点施策として、『製品開発支援システムの再構築による開発プロセスの品質向上』が打ち出された。ワークフローツールを中心にシステム選定を行い、自由度に優れるSpaceFinderの導入が決定。海外展開が容易なことも選定理由だった。

システム構築

ノンプログラミングで期待通りのものができる。プロトタイプ作成~評価を短サイクルで実施

2016年2月にワーキンググループを立ち上げ、システムのスコープが決定。同年8月にDR管理の構築を開始し、翌年1月に完了した。

田中氏SpaceFinderはマウス操作とパラメータ指定で直感的に期待通りのものができ、すばらしいと思いました。ユーザーへの説明も、通常は資料を作って、「ここを押したら動くんです」というように行うのですが、今回はまずプロトタイプを作り、実際に動かして見せることができました。この方が話が早く、実にありがたかったですね。作りかけでも完成度が高く、作って、見せて、動かして、何回もブラッシュアップしました。SpaceFinderでなかったら合意形成すら上手くいかなかったかもしれません。その後も、SpaceFinderの柔軟性を活かし、ユーザーの意見を素早く反映していきました。

慣れ親しんだ業務に変化が加わることは、常に困難を伴う。準備期間を十分にとり、トップダウンと現場のケアの両面でプロジェクトを確実に推進。2018年4月に本運用が開始された。

運用状況

製品分野毎に築き上げられた開発プロセスを損ねることなく、標準システムで一元管理

DR管理

工場毎に製造品目が異なるDICでは、拠点や部門毎に独自の最適化が進んでいた。システム検討の段階で、西脇氏と田中氏は各拠点を回ってヒアリングを行い、相違点・類似点の整理・分析を行っていった。

田中氏各工場の技術部門やISO担当者に話を聞いたりアドバイスをもらう中で、書式や呼称は違えど、原理原則と大きな節目は同じだということが見えてきました。顧客要求や品質特性、適用法令、販売計画、技術課題等の製品要求事項はどの製品分野でも共通化できますし、開発の過程で深掘りや更新されることはありますが、観点が変わることはありません。そこで、DRの度に資料を登録するのはやめて、製品要求事項を常に更新し、その情報をDRのタイミングで証跡として残す仕組みを考案しました。

開発テーマが発生すると、『製品要求事項』帳票を起票し、情報を随時インプット。DRのタイミングで『DR帳票』を起票すると、製品要求事項や添付ファイルがコピーされ、その情報に対してDRを実施する。再審査の場合は、製品要求事項を更新して、もう一度DR帳票を起票。製品要求事項は更新され続け、DRの記録が確実に残る。こうすることで、DR運用に自由度を持たせながら、情報を一元管理することができる。

田中氏帳票には代表的な項目を用意し、標準項目で表現できない場合は添付ファイルを利用。必須項目は極力設けていません。

西脇氏企画、設計計画、設計検証、量産化前という4つのレビューポイントを標準で設けていますが、例えば、設計検証DRを省略して量産化前DRを行っても良いですし、製品要求事項をすべて埋める必要もありません。そこはシステムで縛るのではなく、製品分野毎にルールを定めて運用します。ただ、実施した結果は確実に残り、システムの中で一目瞭然になります。これがとても大事なのです。

新システムでは、ワークフローでDRを行うことも可能。従来は、部署毎の共有フォルダに格納されていた資料が、今後は一元的に管理され、本社部門からも見える化が進む。

田中氏条件付き承認の場合、課題管理表に指摘事項を記入します。設定した対応期限にアラートメールが自動配信されます。DR管理では、製品化案件だけでなく、5M変更の審査履歴を残したり、スポット的な技術レビューなどにも使って貰えれば、という想いもあります。

研究テーマと開発案件を紐付けて進捗を見える化

DR帳票の起票・完了状況をもとに開発案件の進捗を一覧で見える化。滞留防止にも効果を発揮している。さらに、研究テーマと開発案件を紐付けた進捗管理も可能になっている。

西脇氏開発案件は、研究テーマより派生し、小テーマとして紐付ける構成としました。研究テーマを一覧表示することにより、DRの実施状況が明確になり、計画の遅れなど、研究テーマ全体の最新の状況が簡単に見て取れるようになりました。

苦情・クレーム管理

苦情・クレーム対応も、全社標準の単一システム展開を進めている。発生内容の登録、重要度判定・調査部署設定、調査・解析、対策・歯止めといった原理原則と、製品特性・事業特性といった多様な現実を、SpaceFinderの電子帳票/ワークフローで吸収した。

田中氏苦情・クレーム対応は、スピード感と確実性を両立させながら、お客様にご納得頂くことが第一のゴール、再発防止策の機能確認が真のゴールです。一方、全社標準システムのメリットは、見える化、管理レベル向上、システムコスト低減といった、本社部門のガバナンス要素があげられます。現場・現実と本社の都合は、時にトレードオフになることもありますが、本システムでは現場の実用性と本社の管理レベルの両立を目指しました。これを証明・共有するには、迅速なプロト開発と提供が必須で、その点でSpaceFinderは最適でした。

基幹システムとの連携により、顧客や品目マスタの検索機能、人事異動の自動反映を備え、製品群や工場、深刻度レベルで承認ルートの初期値が切り替わる、製品特性ごとの専用入力画面等、実用性に富んだ仕掛けが盛り込まれている。
お客さまプロフィール
DIC株式会社
本社 東京都中央区日本橋三丁目7番20号 ディーアイシービル
資本金 966億円
従業員 連結 20,628名 単体 3,503名 (2017年12月31日現在)
事業内容 1908年、印刷インキの製造と販売で創業。その基礎素材である有機顔料、合成樹脂の事業を拡大。現在は、Color & Comfortをブランドスローガンに掲げ、プリンティングインキ、顔料、液晶材料、ポリマ、リキッドコンパウンド、ソリッドコンパウンド、アプリケーションマテリアルズの7つの製品本部を通じて幅広い製品群を提供している。印刷インキ、有機顔料、PPSコンパウンドで世界シェアNo.1を獲得。世界で60を超える国と地域に事業を展開している。
DIC株式会社 本社

本社

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