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文書管理とプロジェクト管理の一体化で流用設計を促進

ダイキンMRエンジニアリング株式会社

ダイキンMRエンジニアリング株式会社

図面管理とプロジェクト管理の一体化で流用設計を促進。さらに、標準図面へのナビゲーションで設計効率化と不具合削減、若手の戦力強化を図る。究極的には、新人でも設計可能なプロジェクトができる可能性も。

以下は一部抜粋です。記事全文と運用イメージはこちら!

ダイキンMRエンジニアリング(以下、ダイキンMR)では、図面管理の強化による業務効率向上への取組みが進んでいる。そのIT基盤として導入されたのがSpaceFinder。狙いは、流用設計の推進と標準図の整備による圧倒的な設計業務量の削減、そして、不具合削減、若手技術者の戦力強化による競争力向上だ。さらに、プロジェクト進捗の見える化や過去図面データの活用など、部門/拠点を超えた効果も現れている。

導入目的

図面データの活用で、設計業務の効率化と若手技術者の戦力強化、不具合防止/ロスコスト削減を図る

進藤 秀司 氏

技術部 技術課 マネージャー
進藤 秀司 氏

進藤氏コスト競争が厳しい中で、技術者一人ひとりがより多くの案件をこなし、なおかつ、いかに不具合を抑えるか。その施策として、図面管理の強化に取組むことになりました。当社の仕事で大多数を占める「商船」は、船の形は様々でも人が居住する区画は似ており、空調システムは基本的に同じパターンで設計が可能。しかし、従来のファイルサーバによるフォルダ管理では、担当者以外からは非常にわかりにくく、図面データを十分に活用できなかったのです。

業務効率化に加え、若手技術者の戦力強化と不具合防止/ロスコスト削減も重要な課題だった。
渡部 敬介 氏

技術部 技術課 課長
渡部 敬介 氏

渡部氏1つのプロジェクトは数名の技術者がチームを組んで担当。技術者間でレベルのばらつきがあり、若手技術者に任せられる仕事のセクションが限られていました。また、アウトプットが安定しなかったり、間違った図面を参照したりといったことが不具合発生の原因にもなっていました。

ダイキンMRは、技術者の技量が高かったこともあり、個人のスキルに頼った仕事の仕方を行ってきた。しかし、社内外の状況変化を受け、設計の標準化に舵を切る。その環境整備として、図面管理システムを導入することが決定。2012年3月までの稼動開始を目指すことになった。

選定理由

市場の変化に対応するためには、固定されていなく融通のきくシステムが必要

進藤氏絶えず市場の変化にあわせて業務も変えていく必要があるので、システムも柔軟でなければ困ります。当初は一品物のシステムを検討しましたが、初期コストが嵩む上に、変更にも相当な手間と費用がかかることがネックとなりました。その点、システムが固定化されてないSpaceFinderはいろいろな方向に融通がきき、自社でシステムを変更することも可能。これは大きなメリットでした。

ダイキンMRは、技術者の技量が高かったこともあり、個人のスキルに頼った仕事の仕方を行ってきた。しかし、社内外の状況変化を受け、設計の標準システム構築期限が半年後に迫った2011年9月にSpaceFinderの検討を開始し、無事に期限を守ることができた。「多分、他のシステムでは、我々はもっと苦労していた。半年間での立ち上げは無理だったと思います」と進藤氏は語る。
椎原 英美 氏

舶用機器営業部
業務G マネージャー
椎原 英美 氏

椎原氏SpaceFinderは製造業での導入実績が豊富で、多くの現場ノウハウが反映されているということも評価しました。また、グループウェアと比較しても、電子帳票設計ツールとワークフロー機能がビルトインされていることが大きなアドバンテージでした。

進藤氏はSpaceFinderを見て、電子帳票ベースの図面管理を発想。従来のフォルダ管理にはない斬新なアイディアが数多く盛り込まれることになった。

運用状況・導入効果

図面データのプロジェクト管理で流用設計を推進。さらに、標準図の適用で大幅に業務効率を向

図面データをプロジェクト単位で案件情報と紐付け管理。その起点が『引合・受注工程管理票』である。

渡部氏引合いが営業から入ると、技術責任者が引合・受注工程管理票を起票し、案件情報を登録。担当者が積算を実施し、仮実行予算を提出、提出日を記入します。それをもとに営業が見積りを作成して客先に提出する流れです。これらがワークフローに沿って進行します。

受注が決定すると、技術責任者が引合・受注工程管理票から『Project Control Sheet(以下、PCS)』を起票。PCSは、プロジェクトで作成されるすべての図面データを管理する、図面管理の中核となる電子帳票だ。プロジェクト情報や納期、担当者等の情報は引合・受注工程管理票から自動転記され、逆に、PCSに登録された図面提出日は引合・受注工程管理票に反映されるというように、電子帳票間の相互連携が随所に活用されている。

類似案件のプロジェクトデータをまるごとコピー。流用設計の推進で設計業務を大幅に効率化

進藤氏技術責任者は、PCSを起票する際に注文仕様を確認し、過去の類似案件を検索。流用設計が可能な場合はそのPCSをコピーします。プロ ジェクトの最終の図面データもすべて紐付いてコピーされますので、必要な修正を加えるだけで設計業務を大幅に効率化することができます。

流用設計をさらに推進するための仕掛けが、船をまたがって共通で使う図面をライブラリ化した『標準図』。この仕組みは、今回新たに導入された。標準図がそのまま適用できれば、図面作成は不要になる。

今後、全体の7~8割に標準図を適用。業務効率化をはじめ、不具合防止・若手戦力化にも効果

渡部氏以前は、過去のどの図面を参照するかは担当者が判断していたため、自分が以前に作成した範囲での参照にとどまった上、間違えた図面を流用してしまい、同じ失敗を繰り返す原因になっていました。今は、個々の図面を管理する『構成図』帳票と標準図マスターDBが連携。標準図が登録されている場合はその図面に●印が表示され、適切な標準図を添付するだけで作業が完了します。

標準図に不備があった場合、その影響範囲は大きい。そこで、標準図の承認フローを通常の図面とは分け、図番も独立した採番体系になっている。

岩本氏造船業界では、1つの造船所で同型の船をまとめて作ることが一般的です。以前は担当者が代わった場合に、空調設備は同じなのに別個に図面を書いたり、コピーの繰り返しで、どれが元の図面がわからなくなるなど、効率的に作業ができませんでした。しかし、図面を標準化して蓄積し、皆が簡単にピックアップできれば、作成しなければならない図面を大幅に減らすことが可能です。

標準図の整備を進め、少なくとも全体の7~8割には適用できる様にしたいと進藤氏は語る。この考え方をさらに発展させたのが『雛形船』である。

進藤氏標準図の集合体を一つの標準的な船として捉えたのが雛形船です。造船所によって船の種類がある程度特定でき、やり方もそれぞれ違うので、造船所毎に雛形船を数種類作ります。そのタイプの船はPCSをコピーすれば、ほぼそのまま使うことが可能。究極的には新人でも設計可能な船ができる可能性がありますし、格段に作業ボリュームが削減できるものと期待しています。

検索性の向上と帳票ベースのわかりやすい図面管理により、部門を超えたデータ活用が促進

SpaceFinderでは、造船所名やシリーズ船番、船型など、プロジェクトで管理している全ての項目を検索キーとして活用できる。検索結果からPCSを開くと、最新図面だけが整理してリストされるので、誰でもスムーズに間違いなく図面を参照できる。

進藤氏図面を探す場合、以前は、設計担当者にまず図面がどこにあるかを聞いて何番船かを確認し、書庫に探しに行っていました。今は自分で検索してPC上で図面を確認できます。例えば、工務部門や修繕の担当者が、以前に担当したプロジェクトの図面を確認したり、いま動いているプロジェクトと似ている過去の図面を確認するなど、部門を超えた図面データの活用が進んでいます。

SpaceFinder導入後、書庫が一部屋不要になった。さらに、PCSから起動する『PCS2』帳票には、電圧、冷媒、機器メーカー、能力といった詳細な情報を登録。それらすべての項目も検索キーとして使用できるので、例えば、220V電圧の船や特殊な冷媒を使っている船などをピンポイントで抽出できる。
お客さまプロフィール
ダイキンMRエンジニアリング株式会社
本社 大阪府大阪市淀川区西中島5-5-15 新大阪セントラルタワー11階
資本金 1億8千万円(ダイキン工業株式会社全額出資)
従業員 100名(平成24年3月現在)
事業内容 舶用空調・冷凍装置の製造・販売に加え、空調・冷凍システムの設計・施工までを請負うエンジニアリング会社。顧客と一緒になって船舶に求められる空調・冷凍装置のコンセプトを作り上げ、真のニーズを実現する商品を開発。同時に、舶用機器での「信頼性」は最も重要との認識の下に、品質ナンバーワンを追求している。「環境に優しい省エネ商品」「トータルコストダウンを実現する省工事商品」「心地よい空間を提供する快適空調商品」などを次々と開発していくとともに、顧客に安心していただけるよう、「グローバルでのアフターサービス」ネットワーク作りを目指している。
  • 記載されている製品名、会社名は各社の商標もしくは登録商標です。

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